近藤和也議員

 衆院本会議が9日午後開かれ、国民民主党の近藤和也議員は「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案」について、麻生財務大臣に質問した。

 政府による本法案の提出理由は、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金を活用するため、金融機能早期健全化業務の終了の日前における国庫納付について定めるとともに、金融機能早期健全化勘定から金融再生勘定への繰り入れをすることができるようにすることが必要なためとしている。

 近藤議員は冒頭、塚田一郎前国交副大臣の下関北九州道路をめぐる「忖度」発言に触れ、財務省には、忖度予算、利益誘導予算がないかどうか査定し直すべきではないかと、麻生財務大臣にただした。

 現状の安倍政権の経済金融政策に強い懸念を示し、「今年度予算においても、安倍総理は国債発行額が減ったと豪語しているが、この約1兆円の縮減は本法律案を前提とした預金保険機構からの8000億円の国庫納付と2017年度決算剰余金約2000億円に依存した結果にすぎない」と断じた。19年度予算のフレームでは、国庫納付金 8000億円は臨時・特別の措置の歳入に計上されており、これに対応する歳出は、軽減税率とキャッシュレス決済のポイント還元、プレミアム付き商品券の発行など、10月に予定されている消費税増税による経済への影響の平準化という名のもとに実施するバラマキ政策に充てられている点を取り上げ、「財政規律・財政再建に本気で取り組んでいるとは到底思えない。財政健全化に本気で取り組むのであれば、今回の利益剰余金も国の借金返済のために使うべきではないか」と政府の姿勢を批判した。

 本改正案により、早期健全化勘定の利益剰余金の国庫への納付や勘定間の移動が柔軟化されることになるが、その納付又は移動は、早期健全化勘定の業務で想定される2つのリスク、(1)2011年の改正金融機能強化法による東日本大震災への対応に関する損失発生のリスク、(2)金融再生勘定の将来の損失リスク――に配慮しなければいけないと指摘した。

 金融再生勘定は、現時点で特別公的管理銀行からの買取株式を1.5兆円規模で保有しているが、長年好調が続いた世界経済は減速の気配が出てきていることから、「早目に金融再生勘定の保有株を処理して、含み損を最小限にとどめるべき」と、麻生大臣に申し入れた。

 最後に、「国民民主党は、『つくろう、新しい答え。』のもと、預金者のリスクを低減しつつ、プライマリーバランスの黒字化をはじめとする財政の健全化、さらには今後の金融リスクに備えるためにも1日も早いアベノミクス から脱却、さらにその影響緩和対策の準備など、真摯に過去から学び、現実をみつめ、未来を見据えて行動していく」と結んだ。