衆院本会議が25日午後開かれ、国民民主党の小宮山泰子議員は衆院厚生労働委員会で24日に否決された野党4会派提出の3法案「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」(セクハラ規制強化法案)「業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案」(セクハラ禁止法案)「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」(パワハラ禁止法案)について賛成の立場から討論を行った。
平成時代で最後の本会議討論に和装で登壇した小宮山議員は冒頭、73年前に第22回衆院議員選挙の結果、誕生した女性議員39人に敬意と感謝を示した上で、「残念ながら日本は女性活躍とは言えない現状にある」と指摘した。
政府が提出した女性活躍推進法等改正案については(1)会社間のパワハラ・セクハラへの対応が不十分(2)悪質クレームから労働者を保護するための措置を講ずる義務を事業者に課していない(3)就職活動中の学生やフリーランスで働く人に対するセクハラ問題を放置(4)セクハラ行為を禁止していない――などの点で不十分だと指摘した。
一方、国民民主党・無所属クラブなど野党4会派が提出した「セクハラ規制強化法案」「セクハラ禁止法案」「パワハラ規制法案」の3法案は、「セクハラ・マタハラ・パワハラ・悪質クレームから働く人をしっかり守る法案となっている」と述べた。各法案の概要は次の通り。「セクハラ規制強化法案」は、会社間のセクハラ・マタハラ対策を抜本的に強化するもの。この仕組みによって、取引上など立場の弱い企業が立場の強い企業に対してセクハラ行為を行わないように求めることができる実効性が担保される。「セクハラ禁止法案」は、企業・組織に属していない就職活動中の学生や、フリーランスで働く人に対するセクハラも含め、セクハラ行為を禁止するものであり、セクハラ根絶のために不可欠。「パワハラ規制法案」には、会社内でのパワハラだけでなく、取引先などの他の会社からのパワハラや悪質クレームについて労働者を保護するための必要な措置を講ずることを事業者に義務付けることが盛り込まれている。
野党4会派提出3法案は、「すべての人が安心して働き、自分の能力を活かす社会を実現するために必要不可欠な法案である」とし、賛成を表明した。
小宮山議員はハラスメントが深刻な問題となっている現状に鑑み、働く人のためには、一歩でも対策を進めることは必要であると考え、政府提出法案にも、賛成を表明し、委員会の審議等の大臣答弁、付帯決議にあったように、性的指向・性自認に関して、アウティング(本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動)等もハラスメントとして位置付けを指針での明示、対策を確実に盛り込むことを要望した。
小宮山議員は女性活躍推進法をめぐる政府・与党による国会対応について、「政府・与党が本気で女性の活躍を推進というよりも、労働力として女性を利用したいとの印象は拭えない」と苦言を呈した。
最後に、国民民主党は引き続き、「ハラスメントのない社会、真のジェンダーフリー社会の実現に向けて、ハラスメント規制の強化、待機児童問題を解消するための保育所の整備や保育士の抜本的処遇改善、子育てや介護と仕事との両立を実現させる長時間労働規制のさらなる強化などに全力を挙げて取り組んでいく」と討論を結んだ。