岡本充功議員

 児童虐待防止対策をめぐって衆院本会議で10日、政府提出の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」と国民民主党をはじめ野党5会派提出の「児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」の両案が審議された。国民民主党の岡本充功議員が野党案の提出者を代表して趣旨を説明、大西健介議員がそれぞれの法案に質問した。

 政府提出の法案は、児童虐待防止対策の強化を図るため、(1)児童の権利擁護(2)児童相談所の体制強化(3)児童相談所の設置促進(4)関係機関間の連携強化――等の必要な措置を講じるというもの。

 これに対して野党の対案は、新たに(1)しつけと称する虐待を防止するため、法律で体罰を禁止するとともに、親が教育等に必要な範囲で子どもを懲戒できるという民法の規定を早急に見直す(2)児童相談所が支援を行う家庭が転居した場合の対応を強化するため、転居する際に児童相談所が指導等の措置を解除できないようにする(3)中核市及び特別区について、児童相談所を必置とする(4)政府よりも児童相談所の児童福祉司を増員(各児童相談所につき+1人)する――こと等を盛り込んだもの。

 野党案について岡本議員は、昨年3月に東京で発生した痛ましい児童虐待事件を受け、6月に国民民主党をはじめ野党が共同で国会に提出した議員立法をバージョンアップしたものだと説明。「関係機関間における情報共有や連携の問題、DVがある家庭とその家庭における児童虐待の問題などが明らかになっており、これらの問題も踏まえた児童虐待防止対策の総合的かつ抜本的な強化は喫緊の課題となっている」と指摘。そこで、児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るため法案の提出に至ったと述べた。

PDF「岡本充功議員趣旨説明(予定稿)」岡本充功議員趣旨説明(予定稿)

 大西議員は、児童虐待事件を防止していく上で、法律で体罰を禁止するだけでは足りず、民法の懲戒権の規定を見直すべきだと指摘。野党案が早急に見直すとしているのに対して、政府案が2年以内に見直すとしている点について「その間に、痛ましい事件が再発したらどうするのか」と政府案に懸念を示した。そのほか、「アドボカシー制度」の導入、児童福祉司の増員と待遇改善、警察との全件情報共有などについて政府をただした。

 野党案に対しては、虐待防止対策の措置が取られた家族が転居する際に、児童相談所が転居を知った時から、措置を切れ目なく継続することとし、転居後1カ月間は措置を解除してはならないということが法律に明記されている狙いについて確認した。これ以外にも、児童福祉司の増員、児童相談所の設置促進などについて質問した。

PDF「大西健介議員質問(予定稿)」大西健介議員質問(予定稿)

大西健介議員

大西健介議員

 4月26日に野党5会派共同(国民、立憲、共産、社保、社民)で衆院に提出した児童虐待防止対策を抜本的に強化する法案(記事リンクを参照)