広島市内での街頭演説

 玉木雄一郎代表は26日、広島県を訪れ、広島市内での街頭演説、国民民主党広島県総支部連合会主催の定期大会、三次市での国政報告会などに参加した。玉木代表は「大都市、大企業中心の経済政策ではなく、家計第一の経済政策に転換を」と、暮らしの安心を第一に考える政策の実現を訴えた。また与野党勢力が拮抗する、緊張感のある政治の実現のためにも、参院広島県選挙区で自民党による2議席独占を許してはならない、と呼び掛けた。

本通商店街前の街頭演説

手を振る支持者

手を振って下さった支持者の方々

 広島市の本通商店街と鯉城通りの交差点で行われた街頭演説会で玉木代表は、森本真治参院議員とともにマイクを握り、「戦後最長の景気回復」とも取り沙汰されるなか、「『議会制民主主義』と『国民生活』――この『2つの危機』が進行している」と警鐘を鳴らした。そして、長く続く「与党一強」により失われた「正直な政治」を回復するとともに、家計第一の政策により「国民生活」を建て直していかねばらならない、と聴衆に訴えかけた。

 また先週発表されたGDP速報値について触れ「消費や設備投資、輸入などが全てマイナス。なのに政府は予定通り10月に増税を実施しようとしている。予算委員会を開き、経済財政政策についてきちんと議論すべきだ」と衆参両院で予算委開催を80日間以上拒否し続けている政府の姿勢を批判した。

 森本真治参院議員も「この6年間で国の中央と地方の格差はさらに進んだ。今の政権は、地域の実情の声にまともに耳を傾けていこうとしない」と安倍政権の地方政策に懸念を示した。その上で「私は『完全地方主義』を標ぼうしている。これからは地方により大きな役割を与え、国政はそのバックアップに回るべきだ」と訴えた。

国民民主党広島県総支部連合会の定期大会

広島県総支部連合会の定期大会

 街頭演説の後、広島市内で行われた党広島県連の定期大会であいさつした玉木代表は、先週、金融庁が出した報告書の中で「今後は公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」と、政府として初めて認めたことや、生活保護者の半数以上が65歳以上の高齢者であることについて言及し、「家計第一の政策への転換が喫緊の課題である」と訴えた。そのためには働く人にお金が回る仕組みが必要だとして、賃上げのインセンティブに法人税を使うなど、新しい経済政策の導入が必要だと語った。

 また「絶対的権力は絶対的に腐敗する」というアクトン卿の言葉を引き合いに、今の日本には「緊張感のある政治をつくっていくことが必要だ」と語った。そのためにも、この夏の参院選において、自民党による広島県選挙区の2議席独占を許してはならないと呼び掛けた。

 この定期大会には、湯﨑英彦広島県知事や松井一實広島市長、久光博智連合広島会長らも参加した。

佐藤こうじ三次地区国政報告会

演説する佐藤こうじ衆院議員

演説する佐藤こうじ衆院議員と玉木代表

 その後、玉木代表は三次市に移動し、佐藤こうじ衆院議員の国政報告会にも参加。あいさつの中で玉木代表は「東京など首都圏は、人口も増え確かに元気だが、そういったところばかりに目が行き、全体に目が届かなくなっているのが今の安倍政権ではないか」と述べ、政治が必要なところに手を指し伸ばさなければならないと語った。また受けられる教育に歴然とした格差がつくなど、子どもを取り巻く環境も大きく変化していると教育格差にも言及。「光が強いと影もより濃くなっていく。光の当たらないところに光を当てる政治をもう一度実現したい」と訴えた。

亀井静香元金融相らと

亀井静香元金融相と

亀井元金融担当相が熱唱する場面も

亀井元金融担当相が歌を熱唱する場面も

ぶら下がり会見

ぶら下がり会見の様子

ぶら下がり会見の様子

 国政報告会に参加後、玉木代表は、記者団の取材の求めに応じた。主なやりとりは以下の通り。

参院広島県選挙区での候補者一本化について

 「広島の場合、自民党に2議席を独占されてしまう可能性がある。なんとしても野党の議席を確保するために、どのような枠組みにしたら、野党がともに自民党と戦えるのか党本部レベルでも協議してきた。今週中にはその体制を決めたいと思っている」

 「32ある1人区では野党が一本化できない時点で選挙に負けてしまっている。2人区でも、広島のように自民党が2人候補を出すような選挙区は事実上の1人区だ。そこは野党が力を結集しないと勝てない。立憲民主党にも同じ思いを共有して頂けたと思っている」

参院選の争点について

 「正直な政治」と「嘘をついて隠す政治」のどちらがよいか、国民の皆さまに考えて頂きたい。もう一つは、なんでも東京中心の世の中なので、もっと地方重視、地方分権を訴えていきたい。また家計第一の経済政策への転換を訴えたい。企業業績や戦後最長の景気回復といっても、国民生活、特に地方の暮らしは、どんどん貧しくなっている。こういったところを変えてゆく、これを大きな政策として掲げて戦っていきたい。

トランプ大統領の来日と日米貿易交渉について

 日米首脳が個人的にも緊密な信頼関係を築くことは国益にも合致し、それ自体は否定するつもりはない。ただ気になるのは、一番の懸案である日米間の貿易交渉について、参院選後まで結果公表の先延ばしが合意されていると漏れ伝わってきている。もし事実だとすれば、国民に対する裏切りだ。大幅に譲歩をするとか、この前のように大量の武器や農産品を購入するというのであれば、参院選の前に国民に示すべきだ。参院選後の公表を日米で合意しているとしたら、それは大問題であって、すみやかに予算委員会を開き、そういった事実の有無を明らかにすべきだ。予算委員会も開かず、国民に対する説明を避ける一方で、日米間では裏取引をしているのだとしたら、国会軽視、国民軽視で到底許されない行為だ。