福島県西郷村のライスグロウイングで

 玉木雄一郎代表は17日、福島県を訪れ、小熊慎司衆院議員、今夏の参院選で無所属の野党統一候補として立候補を表明している水野さち子さんとともに、県西部各地の農業の現場などを視察した。

農業組合法人鶴生ライスグロウイング

農業用機械を視察する玉木代表

農業用機械を視察する玉木代表

 西白河郡西郷村で100ヘクタール以上の面積で飼料米等の生産に取り組む農業組合法人鶴生ライスグロウイングを訪問。生産の大規模化にともない導入した大型トラクターなどの機械について、多額の維持費がかかる一方で、補助金を受けづらくなっている現状の訴えなどに耳を傾けた。

 視察後、玉木代表は「万一ここがだめになれば、地域の農業もだめになるし、酪農家も海外の飼料に頼らざるを得なくなる。食糧自給率を上げるためにも、安心して営農継続できる農政にしたい」と語った。

JA会津農青連との懇談

 JA会津農青連との懇談では、農青連参加者が農業に取り組むようになった経緯、現在生産している作物、海外での農業生産の現状など、兼業農家出身の玉木代表との農業談義に花を咲かせた。懇談の場は、地元農家が出荷する野菜をふんだんに使った料理を提供する農家民宿「穂多瑠(ほたる)」。

JA会津農青連の皆様と

地元野菜の料理を提供する農家民宿「穂多瑠(ほたる)」

 玉木代表は、「地域で第1次産業は特に重要なので、皆さんが安心して続けていけるようにしなくてはいけない。皆さんはまだ若いが次世代への引き継ぎが大きな問題となっている。息子や孫に継いでいきたいという人もいれば、いきたくないという人もいる。なんとか見通しが立ち、所得が保障されるような農政にしていきたいと思い、われわれはいろいろなことに取り組んでいる。種子法の問題など、農政も変わりつつある。現場の意見をしっかりと政策に反映させていきたい」とあいさつした。

 最後は、案内役の小熊慎司衆院議員が持参したドローンを使っての記念撮影も(写真下)。

JA農青連の皆様と

JA農青連メンバーと(玉木代表の右隣は、ドローンを操縦する小熊慎司衆院議員)

会津さくらんぼ村

三橋代表取締役の話を聞く小熊議員と玉木代表、三橋代表取締役

左から小熊慎司議員と玉木代表、三橋代表取締役

 会津地方で最大の観光農園である「会津さくらんぼ村」。代表取締役社長の三橋俊太郎さんは、「ここは事故のあった福島原発から100キロ近く離れていて、サクランボの品質にも全く影響がなかったにもかかわわらず、売り上げに影響が出ている」「かつては土日に観光バスが20台くらい来た。今年は3台程度だ」と、いまだに風評被害の影響を受けている現状を語った。

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 南陽(なんよう)という品種を枝から採って試食した玉木代表は「サクランボの味が本当に素晴らしい。海外から福島の農産品はまだまだと言われてしまう現状がある中、日本人の皆さんには安全性を正確にご理解してほしいし、県外の皆さんもぜひここを訪れてこのおいしさを味わってほしい」と語った。

たわわに実るさくらんぼ

たわわに実るさくらんぼ

喜多方市駒形土地改良区事業所

喜多方市駒形土地改良区事業所の皆さんと

喜多方市駒形土地改良区事業所の皆さんと

 農地面積170ヘクタール、農家戸数136戸の喜多方市駒形土地改良区。区域内に存在する農家のための水利事業などに携わっている。鈴木源江理事長をはじめとする役員から(1)復興予算や後継組織の問題(2)土地の権利問題(3)治水問題――など改良区が直面する課題について話を聞いた。また福島県西部特有の問題として、他の福島県の農家と同様の風評被害を被っているにもかかわらず、福島原発事故の補償が県東部に偏っているといった話も聞かれた。

鈴木源江理事長の隣に座る玉木代表

鈴木源江理事長の隣に座る玉木代表

 玉木代表は「特に若い人が地域をしっかりと引き継いで、安心して営農継続していけるような体制づくりが私たち政治家の使命だと思っている」とあいさつの中で述べた。

 水野さち子参院選候補予定者は、「4月2日に出馬を表明してから県内を駆け足で回っている。農家の方々から『オレたちの農業はどうなる?』と心配の声が多く寄せられた。皆さん70代以上の方々も多い中、息子・娘に継ごうにも、持続可能な農業でないと『継げ』とは言えない、と仰っている方が多い」と語った。

水野さち子参院選候補予定者との共同記者会見

共同記者会見の様子

共同記者会見の様子

 福島市内の水野さちこ後援会事務所で、水野さちこ参院選候補予定者、玉木代表、小熊衆院議員が共同で記者会見を開いた。

福島訪問の全体的な印象を聞かれて

  玉木代表は、「まだまだ復興道半ば、という印象だ。特に地域や業種によって復興のスピードなどがまちまち。復興の集中期間がまもなく終わるが、きめ細やかな対応をしていかねければならない。単に機械的に終わるのではなく、それぞれのニーズに対応した施策が必要だ」 「コメの所得補償制度。われわれの時代から半額となって残っていたが、これが去年からなくなってしまった。その上で、米価政策に対する不安の声や、所得補償制度の復活を望む声を聞かせていただいた。参院選に向けて、私たちはコメ所得補償制度の復活を訴えていきたい」と述べた。

参院選福島県選挙区の位置づけについて

 参院選での福島県選挙区の位置づけについては、「福島県選挙区については最重点選挙区だと考えている。小熊慎司代議士の地元でもあるし、われわれ国民民主党としても深くかかわってきた経緯がある。無所属の候補者ではあるが、自分の党の候補者だと思って全力で応援したい」と述べた。

共同会見後のぶら下がり会見

ぶら下がり会見の様子

ぶら下がり会見の様子

内閣不信任決議案の衆院提出について

 共同記者会見後に単独でぶら下がり取材に応じた玉木代表は、「報道ベースで知ってはいるが、まずは枝野幸男代表とお会いして直接話を伺いたい」「もし決議案を出すのであれば、政権構想――どういう政党と、どのような政策を掲げて政権を樹立するのか。国民にも示していかねばならない。このことは従来から申し上げてきた。枝野代表と直接会う機会があれば、そういったお話をさせていただきたい」「ただ(不信任決議案は)わが党単独では出せないし、野党第1党の枝野代表が、まず判断をされることだと思う。まず話を聞いて、どうされるのか。そこの心合わせ、考え方をすり合わせていきたい」と話した。

衆院の解散について

 衆院の解散については、「かつて死んだふり解散というものがあった。われわれとしては緊張感を解いていない。いつ解散があってもいいように、今週も準備を加速させていきたい」と述べた。

連合福島訪問

連合福島との会談

今野秦・連合福島会長らとの懇談

 連合福島を訪れた玉木代表は、冒頭のあいさつで、「連合福島の皆さまには、これまでもさまざまなご支援を頂いており、心から感謝申し上げたい」と謝意を伝えた上で、「福島は最重点選挙区の一つだと思っている。次期参院選、特に働く者にとっても大事な選挙となると思うので、なんとしても勝利したい。年金をはじめ、暮らしの安心が危機にさらされている。民主主義と国民生活を守る、そんな戦いだと思ってわれわれも臨みたい」と、参院選に向けた決意を伝えた。

 連合福島の今野秦会長は「福島の場合、5者協議会というものが候補者の擁立段階から関わっている。その結果、水野さちこさんで一本化を図ることができた。私たちの誇りでもあり、この選挙戦をしっかりと戦うことができる」と野党統一候補の成果とメリットを強調した。

 これに対して玉木代表は、「やはり地域で決めたことを、中央でそれぞれの政党が尊重して、その枠組みで決まった候補者を応援する。それが一番スムーズだと思う」と述べた。さらに「逆に地域からまとまりのある動きが出て、その結果勝利を収めることができれば、一つの実績にもなる。それが国政でも連携の強化につながる。逆にわれわれの方から期待すること大だ。福島はわれわれも、なんとしても勝ちたい。ぜひ力添えを頂き、結集の軸となってもらい、われわれもそれを最大限応援していきたい。ともに力を合わせて対応できれば、と願っている」と協力を要請した。

 また「2年前の選挙から、特に立憲と国民に分かれたことで、産別の皆さんにもご苦労を掛けていることは重々承知している」と詫びた上で「そこは地方からの動きが、接着剤の一つとなるのではないかと考えている。そのような具体的な取り組みについて、われわれは尊重しているし、期待もしている」と述べた。

連合福島の役員らと記念撮影

連合福島の役員らと記念撮影