話を聞く国民民主党議員

 国民民主党をはじめ野党3党1会派は6日、佐賀県市内を訪れ、8月27日から九州北部で発生した集中豪雨により被害にあった県内各所の現場など、地元県議会議員や消防団案内のもとで視察した。国民民主党からは原口一博国会対策委員長、田名部匡代副代表、近藤和也青年局長、古賀之士参院議員が参加し、被害状況をつぶさに見てまわり、求められる対応策についてそれぞれの現場の要望を聴取した。

■広江漁港・有明海漂流物の被害状況視察

 最初に向かったのは佐賀市川副町で、有明海沿岸に大量のヨシくずや流木などが流れ着いた問題について漁協関係者に話を伺った。また、佐賀県有明海漁協が200隻600人態勢で海上から船でロープを使い回収作業を行ったが、現状漂流物のみの回収であり付着物の確認次第では今後のノリの養殖準備を先延ばしせざるを得ない状況であるとの話があった。

■佐賀市・土石流視察

 金立町大門地区では、大量の倒木と土砂が金立川の流れをせき止め、濁流が道路へと流れたことにより42戸が崩壊した。また今でも濁流が道をふさぐ場所もあり、被害のすごさを目の当たりにした。佐賀県内住家被害は3,251棟(全壊4棟、半壊2棟、一部損壊3棟、床上浸水1,248棟、床下浸水1,994棟)。

土石流で崩壊した家屋周辺を試作する国会議員や地元県議会議員たち

土石流で崩壊した家屋周辺を視察する国会議員や地元県議会議員たち

■大町町・順天堂病院周辺(流油農地含む)視察

 豪雨により冠水し、孤立状態となった順天堂病院付近では、大町町の佐賀鉄工所から流出(県土面積全体の0.03%に影響)した5万リットルの油により、いまだにおいが充満し付着した油膜が農作物に影響し、回復は見込めない状況で農作物の収穫や出荷は望めない状況だと説明があった。回収作業にはオイルマットが使用され、幹線水路にもオイルフェンスが(5箇所)設置された。

 地区内の農地・農作物被害は水稲25.8ha、大豆15.3ha、施設きゅうり0.2ha、採卵鶏は約2,000場飼養のうち冠水による死亡が約1,100羽、廃鶏業者による処分が約900羽。戸数にして水稲・大豆19戸、施設きゅうり1戸、採卵鶏1戸。

出荷を控えたきゅうりが油で枯れてしまった様子をみる近藤和也青年局長

出荷を控えたきゅうりが油で枯れてしまった様子をみる近藤和也青年局長

■武雄市・北方運動公園ゴミ集積場視察

 水に浸かったために家財道具などの災害ゴミは推計7千トン以上となり、運び込む被災住民やボランティアが後をたたず、市内3カ所での受け入れを停止するに至った。現在は別の場所へということで、北方運動公園や南永野地区採石場跡での受け入れをしている。集まったゴミの処理について今後、県外も含めて広域的に処理するよう検討しているが、どう処理をするのか課題も多く、処理仕切るまでには長期化も懸念される。

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集められたゴミの山を見つめる原口、近藤両衆院議員ら

 視察後のブリーフィングで原口国対委員長は、「今回の災害の特殊性、激甚災害が一部地域で指定されたがそれだけではとてもカバー出来ないものだと感じた。また同時に県民や市民の力、全国からのボランティアの方々の支援の温かさを感じた。この問題を国会に持ちかえり『災害対策特別委員会』を早急に開き、問題を明らかにして予算や制度を整えていき再生させることが使命であると強く感じた」と、対応に当たる決意を新たにした。