20191203

 舟山康江参院国対委員長は3日、参院外交防衛委員会で質疑に立ち、日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定の具体的な交渉状況について政府の方針を質した(要旨は以下の通り)。茂木外務大臣からは明確な回答が得られず、舟山議員は「日本政府はアメリカをTPP11に引き戻そうとする努力をすべきだった。日本は何も勝ち取っていない。たった5カ月のあまりに拙速な交渉では議論はまだ深まっていない。承認できる状況ではない」と述べた。

【質問要旨】

  1. アメリカに対してTPPへの復帰を説得することは断念したのか?
  2. 今回合意された協定は、昨年9月の日米共同声明で交渉開始が発表されたTAG(日米貿易協定)なのか?
  3. 日本にとって、今回の交渉での目標は何だったのか?
  4. アメリカは、交渉に当たり、「具体的な交渉目的の要約」というものを公表、日本には、このような明確な方針はあるのか?
  5. USTRの「外国貿易障壁報告書」に対応する日本側のアメリカに対する制度要求はあるのか?
  6. 何を勝ち取ったのか?
    (1)すなわち、自動車及び自動車部品については、今回の交渉での成果、つまり「勝ち取ったもの」に入っているのか?
    (2)今後の交渉では、自動車に関しては、日本からの何の見返りもなく、撤廃してくれるのか?
    (3)時期及び実現の可否が分からないものを前提に「自由化率」や影響試算に入れるのはおかしいのではないか?
  7. 1962年通商拡大法232条について、
    (1)「協定の誠実な履行がなされている間は発動しないことを閣僚間で確認」とあるが、そもそも、追加関税の発動事態に異議を唱えるべき
    (2)関税撤廃で合意している中、安全保障上の理由で追加関税もありうる、というのは矛盾では?
  8. セーフガード規定の発動基準について、
    (1)セーフガード発動基準について、本文での規定を半ば無視する形で「交換公文」の中で「発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」との極めて異例の取り決め。この理由。
    (2)交換公文の効力について
    (3)さらに、「セーフガード措置がとられた後10日以内に当該協議を開始する」との規定は、一方的譲歩に過ぎないのでは?
    (4)そもそもセーフガードは自動的に発動されるもので、発動されるとその基準の見直しを直ちに行う、という協定は異常ではないか。
    (5)TPP11における牛肉セーフガードの発動基準数量について、見直し、引き下げの見通しはあるのか?
  9. 協定発効までの手続きについて
    (1)他のEPA等に比べて極めて短期間である理由。
    (2)条約署名の閣議はいつ、どのような形で行ったのか? なぜこれほどまでに協定発効を急ぐのか?
  10. なぜTPP11に参加していない米国に対してTPP11参加国と同等の利益を即座に認めたのか?