代表質問の模様

 衆院で22日、政府4演説に対する本会議代表質問が行われた。野党共同会派「立国社」(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム)を代表し、玉木雄一郎代表が登壇した。玉木代表は(1)IR(カジノを含む統合型リゾート)事業の見直し(2)中東への自衛隊派遣や中国などの外交防衛問題(3)消費税のポイント還元制度やその他の経済政策(4)子どもや女性に関する諸課題(5)環境問題や農業政策(6)実質賃金の低下や世代間格差ーーなど幅広い問題について建設的な政策を提案しつつ、これらのテーマについて安倍総理の見解を質した。

 以下は代表質問の骨子(※質問全文は末尾のPDFファイルを参照)。

【IR事業】
 「現職国会議員の逮捕など言語道断。国民にお詫びし、まずは疑惑まみれのIR事業を凍結すべきではないか」。冒頭、玉木代表は政府が検討を進めるIR(カジノを含む統合型リゾート)事業について政府に再考を促し、今月中にも決定する予定のIR事業整備地域の選定基準の検討を凍結すること等を求めた(国民民主党など野党は、今月20日、衆院に「IR廃止法案」を提出済み)。

【中東への自衛隊派遣問題】
 自衛隊の中東派遣の閣議決定について、玉木代表は、「法的根拠も脆弱で、武力衝突に発展する可能性のある地域に向けた『なし崩し的な派遣』だ」と指摘。その上で、「任務遂行中に武器使用しなければならない状況に陥る可能性はないのか」「日本がこれまで築いてきた中立的で友好的な中東各国との信頼関係が損なわれるのではないか」などと質すとともに、ハードルの低い閣議決定ではなく、特別措置法による派遣をすべきだった、と指摘した。

 また中東全体の非核化について、日本が主体的にイニシアティブをとることを目指すべきではないか、と質した。

【その他の外交問題】
 玉木代表はまず日米貿易協定について、自動車部品の関税についての合意なしに、このまま第2ラウンド目の交渉を進めるのは「ありえない」とし、この分野における交渉の進展を前提とした米国との協議を求めた。また中国については、近隣諸地域に対する「力による覇権主義」を推し進めているのが現状であり、来日が予定されている習近平国家主席を国賓として処遇することは、中国に対し誤ったメッセージを送ることになりかねないのではないか、と質した。日露の領土交渉については、現状では「0島マイナスアルファ」とでも形容すべき状況にまで後退しているとして、日本政府は交渉戦略をゼロから見直すべきではないかと問い質した。

【子どもや女性関連の諸テーマ】
 昨年、日本で生まれた子供の数が初めて90万人を割り込んだことを取り上げ、少子化という「国難」突破の本気度が感じられない、と安倍総理を批判。結婚したい人が「結婚できる」環境整備や待機児童解消についての総理の認識を質した。

 また女性に関わる問題として(1)選択的夫婦別姓(2)児童虐待(3)匿名で子どもを産む「内密出産」(4)離婚時に未成年の子どもがいる家庭における養育費の取り立て強化(5)性犯罪の厳罰化(6)日本が過去最低を記録したジェンダー・ギャップ指数ーーなどのテーマを取り上げた。 

【若者・高齢者のテーマ】
 経済財政悪化のしわ寄せが若い世代に及んでおり、もはや「財政的幼児虐待」とでも言うべきだ、と玉木代表は指摘。その上で、若者の所得税を免除したポーランド政府の例を取り上げ、若者所得について免税・減税を行う考えについて安倍総理を質した。

 政府が現在検討している、75歳以上の高齢者に対する医療費負担の引き上げについては、その対象となる所得の水準を質した。

【消費税のポイント還元制度やその他の経済政策】
 実質賃金が20年以上も下がり続ける中、「結婚資金」を結婚の障害として挙げる男女が増えている、と指摘。可処分所得を増やし、消費を軸とした好循環をつくることで経済を回復させる、「家計第一」の経済政策へと大きく舵を切るべきだ、と訴えた。

 政府のキャッシュレス・ポイント還元制度については、高所得者優遇であり「不公平だ」として、国民民主党などが従来から主張している「給付付き税額控除」の早期導入を求めた。

【環境・農業政策】
 欧州議会が「気候非常事態」を宣言する中、我が国が2030年時点で目標としている自然エネルギーのシェアの水準が低すぎる、と玉木代表は指摘。気候変動を抑えるために法的・財政的措置をとるべきだとして、この問題に対する総理の見解を質した。

 農地にソーラー発電施設を建設する「ソーラーシェアリング」の推進や、木製サッシの窓を普及させるなどして、住宅の断熱性能を国際的な基準に見合う水準にまで高めるべきではないか、と問いかけた。

 また政府の農業政策が大規模経営や企業的経営の推進に偏っている、と批判。農業の多面的機能や森林の公益的機能に着目し、安心して営農継続できる直接支払制度を導入することなどを求めた。

【憲法】
 玉木代表は、自民党のいわゆる「改憲4項目」には「問題がありすぎる」と指摘。憲法審査会の審議を妨げているのは「野党ではなく、特に論理的整合性の欠ける9条改憲案にあるのではないか」として、安倍総理にこの条文イメージ案を取り下げる考えはないかを質した。

PDF「政府4演説に対する玉木代表本会議質問(予定稿)」政府4演説に対する玉木代表本会議質問(予定稿)

PDF「政府4演説に対する玉木代表本会議質問(予定稿)(フォント拡大版)」政府4演説に対する玉木代表本会議質問(予定稿)(フォント拡大版)