参院本会議で代表質問する大塚耕平議員

 参院本会議で24日、共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」を代表し、国民民主党の大塚耕平議員が政府4演説に対する代表質問を行った。大塚議員は、(1)新型肺炎(2)産業技術(3)社会保障(4)経済(5)通商・外交(6)財政――など幅広い分野にわたって安倍総理の認識をただした。

 冒頭、大塚議員は、中国での新型肺炎の感染拡大の事態を受け、中国の状況、日本を含むその他の国の状況、感染拡大防止のための対策について説明を求めた。
 産業技術では、1989年に世界の企業の株式時価総額ベストテンに占める日本企業が7社あったものが、2019年に皆無になり、日本がITをはじめ重要な産業技術分野で競合国の後塵を拝するようになったと指摘。施政方針で「未来を担う若手研究者に大胆に投資する」と表明した点について、どのように具体化するかただした。
 社会保障に関しては、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度を目指し、改革を実行する旨を表明した点について、政府が提出する医療、介護、年金、雇用関連の法案に含まれている「全ての世代が安心できる」改革の内容について説明を求めた。
 経済に関しては、政府が長年使用してきた「景気ウオッチャー調査」や「景気動向一致指数」、「実質賃金指数」などの調査結果が悪化しているにもかかわらず、施政方針で足下の景気への言及がなかった点を問題視。補正予算案・本予算案の前提となっている景気、賃金の現状認識をただした。
 通商・外交では、世界貿易に占める日本の割合が1989年に10%超だったものが、2017年に輸出4%、輸入3.8%まで低下していることから、「今や日本経済は内需を喚起しないと成長しない構造だ」と説き、政府が貿易、内需をどのように認識しているか説明を求めた。
 財政に関しては、これまでの経済前提を巡る不毛な議論をなくすため、参院に「独立財政機関」を設け、経済予測や財政見通し等を策定し、政府はその予測や見通しをもとに予算編成や年金財政計算を行うという考え方について総理の見解を求めた。
 これらの質問に安倍総理は、新型肺炎への対応では「水際対策の一層の徹底、サーベイランス強化のための検査体制の整備、日本人渡航者、滞在者の安全確保などを講じるよう指示した」などと説明した。
 若手研究者支援については「2025年度までに若手研究者向けの安定的なポストを5千人分以上増やす」「若手研究者を煩雑なペーパーワークから解放し、最長10年間腰を据えて自由な発想で挑戦的な研究に取り組める新しい研究制度も創設する」などと述べた。
 社会保障制度に関しては、一定所得のある75歳以上の高齢者の医療費の窓口2割負担の導入、介護予防・健康づくり・地域の実情に応じた介護基盤の整備・介護人材の確保、年金受給開始時期の上限75歳の引き上げや在職老齢年金の見直し、多様で柔軟な働き方が可能となるような見直しなどの新しい政策メニューを示した。
 景気の現状認識については、別の調査結果を持ち出して大塚議員が取り上げた伝統的な経済指標へのコメントを避けた。内需に関しては、「消費や投資などへ民主導の経済成長を実現することが重要」と個人消費の重要性を認めた。貿易については「少子高齢化が進む中で貿易を通じて海外の需要をしっかりと取り込んでいく」ために必要と述べた。
 独立財政機関については、「院内における機関の設置については国会において議論すべき事柄であり、政府として答弁することは控える」と述べた。

PDF「大塚耕平議員代表質問全文.pdf」大塚耕平議員代表質問全文

PDF「大塚耕平議員代表質問要旨」大塚耕平議員代表質問要旨

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参院本会議で代表質問する大塚耕平議員