玉木雄一郎代表

 29日の衆院予算委員会の基本的質疑で国民民主党の玉木雄一郎代表が共同会派を代表して質問に立った。野党提出の「家賃支払い支援法案」の成立、大学生等の学費の減免措置の拡充、「9月新入学」「9月新学期」への移行、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を提案した。さらに、100兆円規模の「コロナ債(100年国債)」を発行し、万全の休業補償と生活保障により100日以内に収束させるという明確なスケジュールとビジョンを示すべきと安倍総理に強く求めた。

収束の見通しについて

 玉木代表は冒頭、国民民主党が電話や往復葉書で集めている国民からのさまざまな声の中で「怖い」という言葉が共通していることを明らかにした。それには感染するかもしれないとか、商売を再開できるだろうかなど、いろいろな恐怖感が社会に広まっていると指摘。「先の見えない長いトンネルはいつまで続くのか。国民はいつまで耐えればいいのか」と総理に収束の見通しをただした。総理からは「いつ収束するかを明確に答えることができる専門家はいない」など明確な答弁はなかった。

家賃支払支援法案について

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための政府・自治体による休業要請の影響で、店舗や事業所の家賃を払えない事業者が増えている問題に関して、「5月の半ばから下旬にかけて様々な支払いの期限がくるので、このままいくと来月は倒産と廃業が続出する」と厳しい経営環境に置かれた事業者を憂慮。国民民主党など野党5党が28日に衆院に提出した「事業者家賃支払い支援法案」と与党が検討中の対策の方向性は一致しているとし、自民党総裁である安倍総理に与党が野党との協議に応じるよう指示を出し、早急に結論を得るべきと強く求めた。
家賃支払い支援法案

大学生等の学費の減免等について

 大学や専門学校の休校の影響について調べた学生団体のアンケート調査結果で、13人に1人の学生が「退学を検討」との深刻な事態に陥っている実情を報告した玉木代表は、「授業料等の減免や納付猶予を行いやすいよう、補正予算案に計上されている国立大学の運営費交付金や私学助成金の計7億円を大幅に増やすべきではないか」と提案した。これに対して萩生田文部科学大臣は、「これで十分だと思っていない」と関連予算の増額に前向きな姿勢を示すとともに、大学側に入学金や授業料の延納を要請、96パーセントの大学が対応しているとし、「払えないからといって直ちに除籍されることのないよう配慮している」と答弁した。

「9月新入学」「9月新学期」について

 学校休校の影響に関して、オンライン授業に取り組んでいる学校もあれば、玉木代表出身の香川県では前教育長が「オンライン授業をできない」と宣言した事例があるように地域や親の所得によって教育格差が広がっている事態を問題視。「学びを継続し遅れを取り戻し格差を是正するためには、『9月新入学』『9月新学期』に移行するのも一案だ」と提案した。これに対して総理は「これくらい大きな変化のある中では前広にさまざまな選択肢を検討していきたい」、文科大臣も「大きな選択肢のひとつだ」と、両者とも制度改正に前向きに答弁した。

新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正について

 現行の新型インフルエンザ等対策特別措置法に関して、業務中止・外出禁止に関する規制などの「北風」も十分な休業補償などの「太陽」もないと指摘。緊急事態宣言に伴う外出自粛要請や休業要請など、緊急事態措置の実効性を担保するため、特措法を改正すべきではないかとただした。総理は「今の対応で収束が十分に見込まれないということであれば、新たな対応を考えなければならない。その時には玉木委員からもさまざまな提案をいただきたい」と答えた。
新型コロナ「接触8割削減」実現には

万全の生活保障と休業補償によるコロナ収束について

 最後に玉木代表は、「コロナ国債」発行による万全の休業補償と生活保障を講じることで、新型コロナウイルス感染を一定の収束にもっていくための提案をした。具体的には、「100年国債で100兆円調達して100日以内にこれを抑え込むから国民の皆さん協力してくれ。こういう明確なスケジュールとビジョンを示すべきだ」と総理に求めた。総理は「戦後最大の危機であるという認識のもとに思い切った対応を臨機応変に決断していきたい」と述べた。

万全の生活保障と休業補償でコロナ収束を