衆院厚生労働委員会で23日、政府提出の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」等についての質疑が安倍総理出席の下で行われ、国民民主党の柚木道義議員が質問に立ち、過労死を増やしかねない「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)導入を撤回するよう総理に迫った。

 柚木議員は、安倍総理への面会を申し入れて断わられた「全国過労死を考える家族の会」の代表者らが傍聴席にいることを伝え、「残りの人生の全てをかけて過労死の撲滅、法案からの高プロの撤回のために活動している」と説明し、安倍総理に本委員会質疑後に面会するよう提案した。ところが総理は、「委員会の運営は、委員会が決めること」「政策的内容について担当しているのは加藤(厚生労働)大臣だ」等と答弁し、過労死遺族の声を直に聞くことを拒否した。

 焦点の高プロの導入について柚木議員は、「生産性が上がれば過労死、過労自殺が出てしまってもいいということになりかねない」と問題視し、「過労死、過労自殺の苦しみを二度と味わわないで済む社会をつくるために血の通った答弁をもう一回お願いする」と高プロ部分の撤回を強く求めた。これに対して総理は、「(働く)本人が(高プロ)制度を理解し、個々に書面等により同意をしていることの条件がある」から問題ないなどと答弁し、撤回の必要性を全く認めなかった。