参院で4日、政府提出の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」に対する本会議質疑が行われ、国民民主党・新緑風会から小林正夫議員が質問に立った。

 同法案は、法案には、時間外労働に罰則付きの上限規制を導入するなど、必要な規制を盛り込む一方で、「職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合」に、一定の条件のもとで、労働基準法に定める労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする「高度プロフェッショナル制度」を創設しようとするもの。

 冒頭、小林議員は、(1)法案審議が到底不十分であることや、国民民主党の委員が質問に立つ中で衆院厚生労働委員会の強行採決が行われたこと(2)労働時間等の総合実態調査をめぐる虚偽データ問題――などを取り上げ、「森友問題や加計問題と同様、国会ひいては国民に対する説明責任がまともに果たされていない」と、今回の法案をめぐる国会審議の経緯を批判した。

 同法案に含まれている、時間外労働に対する罰則付きの上限規制の導入については、一定の評価を示しつつも、(1)この上限規制の中小企業への導入が大企業よりも1年間先延ばしされること(2)過労死件数で長年ワーストワンである道路貨物運送業を含む「自動車の運転業務」について、一般の労働者よりも緩い規制となっていること(3)一部専門技能を持つ労働者に関しては、過労死を逆に促進する恐れのある「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれる制度を導入しようとしていること、の3点について質した。

 国民民主党が衆院で対案として提出した「安心労働社会実現法案」では、自動車の運転業務についても「年720時間、単月100時間未満、2カ月ないし6カ月平均80時間」の一般則を適用するとしていることを小林議員は指摘。「過労死を繰り返さない、事故を防ぎたいと言うなら、一般則の適用は最低限必要なことではないか」と問いただした。また、労働時間規制の適用が一部除外される裁量労働制適用労働者や管理監督者の過労死が生じている中、労働時間規制の適用が全て除外される高度プロフェッショナル制度を創設することは、「過労死を促進する、と断言せざるを得ない」として、同法案から高度プロフェッショナル制度を削除するよう、あらためて政府に求めた。