大塚耕平共同代表は28日、党本部で定例記者会見を開いた。
働き方改革関連法案に絡んだ、参院厚労委員長への解任決議案について
国民民主党の参院厚生労働委員会等での対応について尋ねられた大塚共同代表は、「参院の野党第1党と第2党以下の足並みについては、極力揃えてはいきたいが、あくまでも委員長に解任に値する瑕疵があったかがポイントだ」と回答。さらに「参院における野党第1党として、国民が十分に納得のいく説明をできる判断をしなければならない。国会の委員長の解任というのは大変重い判断だ。委員長というのは、中立的立場で委員会運営を行う役割。その中立的立場に照らし、解任に値する瑕疵があったか否かが問われているのであって、『法案に反対だから委員長解任』ということになるわけではない」と国民民主党の立場を説明した。またこれが衆院とは異なる対応となったことについては、「あくまで衆院は、委員長の委員会運営に瑕疵があるという判断をしたということと認識している。参院では、審議時間も相応に確保され、公聴会も開かれ、総じて丁寧な委員会運営がなされたと、国対の現場が総合的に判断した」と、あくまで参院における審議のあり方が判断の基準となったことを強調した。
付帯決議案について記者から尋ねられると、「なんとか付けたいと思っている。高度プロフェッショナル制度については大いに反対だが、その一方で、時間外労働の上限規制を設けるなど、前進の部分もあるので非常に悩ましい。だからわれわれは、かねがね、これを分離して法案提出するよう主張してきた。できるだけ多くの政党が賛成する形で法案を成立させる、というのが国民の皆さんに対する国会の責任だと思っている。その努力を十分にしていない与党には疑問を感じているとはいえ、現実には、法案に反対はしていても(最終的には)成立する可能性がある。そうした中で、野党の主張を可能な限り、行政運営や今後の付随的な立法作業に反映させるため、付帯決議をつけることに与党を納得させ、法案には反対しつつ、付帯決議を認めさせたい」と国民民主党の立場を説明した。
党首討論の歴史的使命をめぐる議論と安倍政権について
党首討論での安倍総理と他の野党党首との言葉の応酬について尋ねられると、「あまり建設的でないやり取りだという印象を受けた」とその印象を語った。「与党と他の公党との党首討論は、国民の皆さまにとって大変意味のあるもので、意義のあるものにしていかなければならない」とも述べた。
また安倍政権の歴史的役割について話が及ぶと、「『党首討論の歴史的使命が終わった』と発言する総理の姿を見ていて、私は安倍政権の歴史的使命が終わった感じがした」と語った。「過去5年間を振り返ると、安倍政権の歴史的使命は2つあったと思う」との見方を示し、まず安倍政権のアベノミクスと呼ばれる経済政策のパッケージについて「この実態は、異常な金融緩和による社会大実験以外の何物でもなかった」と総括。そして「物価を上昇させることによって景気を改善し、国民の皆さんの賃金・所得を上げることによって税収増を図る。そして税収増を財政の健全化につなげるというロジックだった。ところが最初の中間目標である物価上昇率ですら、5年たった今も目標に達していない。賃金も上がっていない。財政健全化については、丸々5年間の先送りが決定した。これでアベノミクスと呼ばれる壮大な社会実験は失敗し、金融の正常化もなかなかできない、財政ファイナンスも恒常化している、結果的にかえって問題を深刻化させたというのが現状だ」と分析した。最後に「アベノミクスは、非常に大きな禍根を残してその歴史的使命を終えた」と締めくくった。
安保法制の見直しなど、安倍政権の外交については、「相当米国に気を使った政策をとってきたわけだが、トランプ政権下では通商交渉でもアメリカから相当厳しいことを言われてきた。北朝鮮問題でも、どれだけ正確な情報を得られているか分からない状況になっている。(米国は)大事な同盟国ではあるが、米国に過度に同調した結果、得られているものが果たして当初想定していたものかどうか、甚だ疑わしいと思われる。こうして外交についても壮大なチャンレンジが所期の効果を上げていないということで、これも歴史的使命を終えた、という印象を受けた」とした。