対決よりも解決。是々非々で国会対応を進める国民民主党・新緑風会の舟山康江国会対策委員長に、これまでの与野党間、野党間の協議の真意を聞いた。

 ――通常国会の会期延長後の日程協議の経緯についてご説明を。

 国会会期最終日の前日の19日まで、会期延長はしないという前提で与党と日程協議等を行ってきた。それが会期最終日の20日に与党が急に手のひらを返して一方的に延長を決めた。このことは与野党間の信頼関係を大きく損なうものであり、与党に強く抗議し、今後の日程協議で一切妥協はしないという厳しい態度で突き放した。

 その後、22日の金曜日になって、与党側からどうしても審議に応じてもらいたいという要請があった際、前提条件として、参院予算委員会の集中審議と党首討論の開催を要求した。与党側はそれを呑み、25日の参院予算委員会の集中審議と27日の党首討論開催となった。さらには26日に参院厚生労働委員会(働き方改革)、参院内閣委員会(TPP)の両委員会でも総理入り質疑をしたいと与党側から申し入れがあり、3日連続で総理入りの審議の場を確保することができた。与党が3分の2以上の圧倒的な議席を占め、全て強行に決められてもおかしくない状況の中、国会での議論の場を獲得することが、野党にとって最も重要であると考え、ぎりぎりの判断をした。

 ――参院での野党間の足並みの乱れについての報道もありますが。

 22日午後に開いた野党国対委員長会談の場で与党との合意内容を説明した。各党からの疑問に対しては、「嫌がる総理を質疑の場に引きずり出すことの重要性」を訴え、そして丁寧に説明した。最終的には「この方針で進めさせていただくのでよろしく」と、各会派から了解を取って決定した。一部報道には、「勝手に決めた」「何の相談もなかった」という他党からの声が取り上げられていたが、それは事実と異なり、遺憾である。

 交渉事なので、あらかじめ全てを野党間で共有し、意見を集約してからということは現実的には難しい。これまでの慣例通り、野党の筆頭に任せていただき、重要局面できちんと説明をして理解をいただいて進めていく。何か不満があれば、次の話し合いの中で生かしていく。今回も丁寧に説明したと思っている。

 ――参院厚生労働委員会で、島村委員長への解任決議案に同調しませんでした。

 議論の前提として申し上げたいことは、法案の賛否と、委員長や大臣の責任を問うことは全くの別問題だということ。法案の廃案や修正を勝ち取るための努力は必要だが、法案に反対だからと言って、委員長の首を取りに行くということは筋違いだと思う。委員長の解任というのは、委員会運営に瑕疵(かし)があるなど委員長としての姿勢や資質を問うものだ。参院での審議時間は衆院の審議時間(33時間30分)を上回る36時間54分に達し、衆院ではできなかった地方公聴会も開催するなど、島村厚労委員長は丁寧な委員会運営をしてきた。瑕疵(かし)を問う理由がない解任決議案に、わが会派は合意できないという判断をした。

 道理の通らない解任決議を出せば、付帯決議を勝ち取ることや、パワハラ規制法案の採決もできなくなる惧れがあること等も熟慮した。参議院野党第1党の国対委員長として、当然の務めだ。

 結果的に、野党提案のパワハラ規制法案について採決させたことは大きい。与党に対し、「あなたたちはパワハラに賛成なのかどうか」と、踏み絵を迫ることができた。委員長解任決議によって1日採決を伸ばすことに固執すれば、その引き換えに、われわれがまとめた付帯決議や野党案の採決が吹き飛んでしまった可能性もあり、今回の対応は最良の選択だったと確信している。

 ――今後の国会対応に対する心構えは

 政治家がやるべきことは、充実した審議、議論を通じて問題点を明らかにして解決することに尽きる。ただ、与党が3分の2以上の圧倒的な議席を占める中、巨大与党に対峙(たいじ)しながら、野党として「実をとる」ためには、ぎりぎりの判断が迫られるのも事実だ。われわれの主張を貫くためには、来年の統一地方選挙や参院選挙、来たるべき衆院選挙でわれわれの仲間を増やすことが大事であり、国民の皆さまのご支持を得られるように、私自身も努力を重ねていきたい。

 ――ありがとうございました。

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する付帯決議(参院厚生労働委員会)