衆院で5日、政府提出の「水道法の一部を改正する法律案」の本会議採決に先立ち討論が行われ、国民民主党・無所属クラブの柚木道義議員が反対の立場で討論した。

 本法律案は、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化等に対応し、水道の基盤の強化を図るため、都道府県による水道の基盤の強化に関する計画の策定、水道事業者及び水道用水供給事業者による水道施設台帳の作成、地方公共団体である水道事業者等が水道施設運営等事業に係る公共施設等運営権を設定する場合の許可制の導入、指定給水装置工事事業者の指定に係る更新制の導入等の措置を講ずるもの。

 柚木議員は、大阪北部地震のような災害時の対応を考えると、本法律案に反対せざるを得ない内容が含まれていることを指摘。反対の内容はコンセッション方式(利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式)に関する規定が含まれていることだとし、コンセッション方式では災害時の責任の所在や役割分担について、自治体が策定する枠組みに委ねられていることを問題視した。

 他にも(1)自治体職員の転籍についても自治体が策定する枠組みに委ねられており、水道事業の技術継承を困難にし、地方公営企業の技術力、人的基盤の喪失につながるおそれがある(2)運営のほぼ全てを民間事業者が行うなか、モニタリングできるだけの知識と経験も自治体に蓄積されなくなる(3)自治体にノウハウがなくなって、災害時に対応できなくなる疑念がある(4)事業者が水道事業の認可を得る必要がないため水道法上の責任の所在が不明確である――などの点を挙げ、コンセッション方式に関する規定を本法案から削除すべきと主張した。

 水道は命と生活を支える重要な基盤だと述べる柚木議員は、「国民民主党は、生活者の立場から、命と生活を支える水の安全・安心を守っていく」と強調した。

水道法を一部改正する法律案 柚木道義議員討論原稿(未定稿)