城井崇議員

 衆院本会議で17日、「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案」に関する趣旨説明と質疑が行われ、国民民主党の城井崇議員が共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」を代表して文科大臣、国交大臣、厚労大臣に質問した。

 本法案は、2020年のオリンピック・パラリンピックイヤーを契機に、文化観光拠点を中核とした地域における文化観光を推進するため、主務大臣(文部科学大臣・国土交通大臣)による基本方針の策定、拠点計画・地域計画の認定、これらの計画に基づく「共通乗車船券」などの事業に対する特別の措置などを講じるというもの。

 本法案の趣旨について城井議員は、「文化についての理解を深める機会の拡大及びこれによる国内外からの観光旅客の来訪促進」などとしているが、新型コロナウイルス感染拡大や各種自粛に伴う経済縮小でリーマンショックを超えつつあると指摘、「現在の我が国で行える環境にあるのか」と疑問を呈した。こうした厳しい経済状況を踏まえて、国内感染拡大を防止しながら事業者や生活者への支援充実をどう進めるか見解を求めた。それに対して国交大臣は、多くの観光地で団体宿泊客のキャンセルなどで地域経済に深刻な影響が出ているとの認識を示し、事業継続のための資金繰りと雇用調整助成金の要件緩和の実施や公租公課の減免などを検討していると答弁した。

 本法案に既存の政策と重複しているものが多いと問題視した城井議員は、「共通乗車船券の発行などによる交通アクセスの向上に加え、地域ブランドの向上、海外宣伝、多言語化、Wi-Fi・キャッシュレスの整備、バリアフリー化などは、国交省・観光庁所管の現行の仕組み、現行法や予算措置で実行可能ではないか」と認識をただすとともに、「政策の重複による税金の無駄をなくすべき」と提案した。答弁に立った文科大臣は、文科省所管の既存の法律では対応できないとして新法で対応するなどと述べた。

 拠点施設を中核に文化観光を支援するとしている点に関して城井議員は、「施設展示等になじみにくい無形の文化的所産に対しては本法案による支援はどのように届くのか」文科大臣にただした。さらに、「文化観光拠点施設の機能強化を図っていくにしても、専門的知識に精通した役職員や学芸員の育成・配置が不可欠」と指摘し、学芸員をはじめ、人材の育成及び確保に係る支援についての今後の方向性及び具体策についてただした。文科大臣は、本法案で有形または無形の文化的所産を文化資源と規定していると説明し、無形の文化的所産に関する事業への支援が可能であると答弁した。人材育成に関しては、多様なニーズに対応した人材育成に努めているなどと答えた。

 なお、本法案の質問に先立ち城井議員は、WTOからパンデミック宣言が出され、災害対応にも匹敵する新型コロナウイルス対策について3点を質問した。(1)休校要請解除の時期のメド(2)4月の新学期以降の対応方針の目安や対策、各種手続き・対応の弾力化(3)休業補償対策で会社で働く人とフリーランスで働く人との補償額に格差がある理由をただした。休校要請解除時期と新学期の対応に関しては、文科大臣が3月19日を目途に出される予定の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の報告も踏まえ検討すると答弁した。休業補償額の格差問題については厚労大臣が登壇したが、明確には答弁できなかった。