日EUの経済連携協定(EPA)の承認案について反対討論を行う小熊慎司議員

 衆院で29日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の承認案(「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件」)の採決に先立ち、国民民主党の小熊慎司議員が反対討論を行った。

 冒頭、小熊議員は、EUが昨年12月に福島県産のコメなど10県の食品に対する輸入規制の緩和を決定したことを取り上げ、日本・欧州EPAの締結を追い風として、福島県を始めとする地域の産品について、EUへの輸出が拡大していくことを大いに期待していると述べた。しかしその上で、本協定については、懸念される点や政府の説明が不十分な点が残されている、と指摘した。

 特に本協定では(1)重要5品目のうち、豚肉・牛肉、乳製品、砂糖については委員会決議を全く守れていないと批判されたTPPとほぼ同水準の譲許をEUに対しても約束してしまった(2)ソフト系チーズ、パスタ、SPF製材(カナダの中西部産の主にマツ科の樹木の混合木材)等の品目ではTPPの水準を超える譲許を余儀なくされた(3)政府は経営安定対策などの国内対策や生産者の体質強化により引き続き「国内生産量や生産者の所得が維持される」との説明を繰り返しているが、具体的にどのようにそれが可能になるのかについては短い審議で全く明らかにならなかった(4)さまざまな国内対策の財源である関税収入が本協定の締結によりさらに減少することが見込まれる中で国内対策のための財源をどう確保していくのかについても政府による明確な回答がなかった――など今回本協定に反対する理由を述べた。

 小熊議員は、国民民主党が「自由貿易の推進やEUとの協力の重要性を十分に理解しているつもりだ」と述べた上で、「政府の誠実な説明、十分な審議がないまま、大きな問題点のあるこの協定に賛成することはできない」と、党の立場を説明した。

 さらに、この協定の委員会審議時間が、わずか1日、たった4時間半であったと指摘した上で、「入管法改正案や漁業法改正案といった重要法案の審議の陰で、本協定の承認手続をさっさと済ませようとする政府・与党の国会軽視の姿勢の表れだ」と政府の基本姿勢を厳しくただした。

小熊議員の反対討論(続き)

小熊議員の反対討論