衆院予算委員会での締めくくり質疑の様子

 衆院予算委員会で1日に行われた2019年度政府予算3案の締めくくり質疑で、国民民主党からまず渡辺周議員が質問に立ち、安倍内閣の姿勢を厳しく問いただした。

 渡辺議員は安倍総理に米朝首脳会談終了後の2月28日にトランプ大統領と行った電話会談の内容を確認した。また、安倍総理が「次は私自身が金正恩(キム・ジョンウン)委員長と向き合わなければいけない」と発言したことについて、拉致問題について何らかの手応えがあったのかをただし、今後の訪朝を含めた交渉方針をわが国が主体となって進めていくよう進言した。

 統計不正問題では、総務省の担当者が本人に無断で作成した、総務省統計委員会の西村委員長が国会への参考人出席に難色を示しているかのような文書を野党に示したことについて総務省の責任を追及し、石田総務大臣に「参考人に敬意を払ってほしい」と強く批判した。また、安倍総理に省庁横断的に統計不正問題の全容解明を求めた。

 次に登壇した階議員は、ポイント還元関連予算(キャッシュレス・消費者還元事業の消費者への還元、約1786億円)の積算根拠が甘く、金額が上振れする可能性を指摘した。世耕経産大臣は積算根拠には答えず、予算を1カ月、3カ月毎にレビューして対応していくと答弁した。

 ポイント還元の影響で総務省の家計調査の消費支出が上振れする可能性や、GDPの家計最終消費支出と名目家計消費指数の動きが2015年頃から大きく乖離するようになったことなどについても言及した。

 質疑終局後に討論が行われ、国民民主党からは西岡秀子議員が反対討論を行った。

 西岡議員は、毎月勤労統計をはじめとする統計不正問題は、政策立案の根底を揺るがす日本の信用をおとしめる大問題であるとした。総理秘書官まで関わっていたことが委員会質疑を通して明らかになり、この問題が実質賃金の低迷を否定したいがための操作ではないか疑念があるとも指摘した。

 また、安倍総理の鳴り物入りで決まったキャッシュレス決済によるポイント還元は、消費者にも中小規模事業者にも「複雑で不公平」だと述べ、審議を通じて経済政策でも多くの問題が明らかになったため、予算を撤回して出し直すべきだと主張した。

 討論終了後に採決が行われ、与党の賛成多数で2019年度政府予算は可決された。

渡辺周議員

渡辺周議員

階猛議員

階猛議員

西岡秀子議員

西岡秀子議員