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 衆院国土交通委員会で29日に開催された閉会中審査で、西岡秀子議員は令和2年7月豪雨への対応と今後の防災対策、Go Toトラベル事業について質問した。冒頭、豪雨災害で亡くなられた方へのお悔やみと被災者へのお見舞いとともに、コロナ禍と災害が重なる中、昼夜を問わず救助・復旧活動に携わる人々への感謝を表明した。

 西岡議員は、九州全域で豪雨により住宅被害、河川、道路等の公共土木施設、農林水産業への広範囲にわたる甚大な被害が発生したと述べ、「被災地における災害査定の早期実施と迅速な復旧事業の推進、地方自治体が財政負担を心配せずに復旧にあたることができる体制を早期に整えていただきたい。復旧については、再び被害が発生しないように改良復旧が必要。近年、洪水による被害が激甚化、頻発化しており緊急性をもって総合的な流域治水をより推進してほしい」と要請した。

 また、25日に長崎県諫早市の観光地「轟の滝」でがけ崩れに巻き込まれて亡くなった母娘2人が7月豪雨災害関連死に認定されたことを取り上げ、「雨量が増え、土砂崩れの災害の可能性が高まっている。コロナ禍においては密を避けるために、郊外の渓谷や 山合い、キャンプ場の利用が多くなると予想される。台風シーズンを前に観光地、行楽地の危険個所の把握、観光客へのハザード情報の発信など安全対策の強化をはかるべきではないか」とただした。

 赤羽一嘉国土交通大臣は、二度とこのような痛ましい事故を起こさないようにしなければいけないとの認識を共有した上で、「観光地の安全性の確保は重要性は言うまでもない。一義的には管理者がやらなくてはいけないが、あいまいになっている。これを機に、国交省、観光庁の中で横串を刺して、(課題を)共有し、未然に防げるような対策を検討したい」と答弁した。

 続いて、西岡議員は命を守る避難指示の在り方について質問。「長崎でも大雨特別警報が出され 警戒レベル3が発令されてからあっという間にレベル5が発出されたという状況。室内でも恐怖をおぼえるほどの雨量の中で、どのタイミングで避難したらよいかという判断が非常に難しく、避難情報に対する理解がなされていない現状もあり、結果として避難行動に結びつかなかったという声を多く聞いた。警戒レベル4の中に避難勧告と避難指示があり、違いが分かりにくく、指示が出るのを待っている状況も見受けられる」として、政府内の取り組み状況を尋ねた。

 内閣府参考人から「昨年の台風19号を受けて省内でワーキンググループで検討を始め、130市町村を対象にしたアンケートを実施した。避難勧告と指示を一本化する必要性、より状況が切迫して、とるべき行動を特に促したい場合の対応の必要性などの意見が大勢を占めている。8月から9月頃に一定のとりまとめを行う予定。引き続き議論を深めていきたい」との答弁があった。

 また、西岡議員は、一般住宅や避難弱者が多く集まる高齢者施設等の立地の安全性について、「危険性の高いところについては、住民の理解を十分に得た上で、移転も含めて考えていく局面ではないか」と指摘した。

 さらに、GoTo トラベル事業の開始が前倒しになったり、東京が対象から除外されたりした経緯と事業の最終責任者についてただした。赤羽大臣は「Go Toトラベルの所管は国土交通省なので、大臣である自分が責任者だ。事業の前提は国民の安全で、感染拡大防止に資さなければいけない」と答弁したが、事業の対象から除外あるいは解除するかは新型コロナウイルス感染症対策分科会の専門家の意見を聞いて判断すると言及するにとどまった。西岡議員は、困っている事業者の支援と感染防止を両立するための明確な基準を示し、事業を再考するよう求めて質問を終わった。