予算の反対討論に立つ森田俊和議員

 2日未明に開かれた衆院本会議で、2019年度政府予算が与党の賛成多数で可決した。採決に先立ち、国民民主党・無所属クラブの森田俊和議員が反対討論に立った。政府予算について「根拠となる統計が歪められてしまったことが明らかになっただけでなく、予算の内容も、これはどうなんだ、という疑問だらけ」と問題視した。

 統計に関しては、(1)東京都内の大規模事業所について本来全数調査すべきところを3分の1程度の抽出調査に変更したこと(2)産業構造や労働者数などの変化を統計に反映させるベンチマーク更新に伴って生じる急激な変動を和らげるためのデータ補正を、厚生労働省が統計委員会に諮問せずに無断で取りやめていたこと(3)2018年からこっそりと臨時や日雇い労働者を調査対象から外したこと(4)抽出調査を行ってきた中規模事業所の調査対象を2、3年に一度、全数入れ替えをしてきたが、これを部分入れ替えに急に変更したこと――の4つの問題点を指摘した。

 予算内容については、(1)消費増税で1兆円以上の税収増が見込まれるのに、30兆円を超える国債を発行することになっており、財政規律を完全に失っていること(2)保育の無償化がお金持ちを優遇し、格差を拡大させてしまう予算になっていること(3)消費増税対策のキャッシュレスポイント還元もお金持ちの優遇につながること(4)日本の防衛戦略全体を考えての予算というよりトランプ大統領に言われるままに防衛装備品を『爆買い』させられていること(5)消費税増税と年金カットで高齢者にダブルパンチとなること――などに疑問を呈した。

PDF「2019年度予算に対する反対討論予定稿」2019年度予算に対する反対討論予定稿

玉木雄一郎代表のコメント

 玉木雄一郎代表は1日夜、衆院予算委員会で2019年度政府予算が可決された直後に記者団から受け止めを求められ「極めて強引な採決で残念だ」とコメント。特に審議の中で明らかになった昨年の実質賃金の値が結局、分からないまま政府・与党が予算を強引に可決したことについて「予算審議に必要な最も基本的な賃金上昇のデータ、必要な文書、資料を出さないまま採決したことは極めて残念だ」などと語った。