国民民主党の災害対策本部は21日、古川元久災害対策本部長、羽田雄一郎長野県連会長を先頭に、台風19号による災害が発生した長野県佐久市、上田市、長野市を訪問し、河川や鉄道、住宅、農業の被害状況、避難所の様子を視察。また長野県庁で阿部守一知事と面談した。
佐久市長からは、「色々な形で被害が出ている。支援制度の従来の基準で対象にならないものでも、きめ細かく柔軟に対応してほしい」との要請があった。佐久市の視察には井出庸生衆院議員が同行した。
上田市では、千曲川の増水により上田電鉄の鉄橋の一部が落下した現場を視察した。今後も大雨が降る可能性があることから、護岸がさらに崩れるのを防ぐための工事と鉄橋引き上げに向けた調査が進められているとの説明を受けた。
また、篠原孝衆院議員の案内で千曲川流域の被害状況を視察した。塩崎地区では、8割の世帯が床上または床下浸水の被害を受け、住民がボランティアの助けを借りながら泥の撤去、ゴミの運びだし作業にあたっている。住民からは、喫緊の要望として土手・堤防の改修とゴミの回収と処理があがった。
大規模な決壊が起きた穂保地区の現場では、被害の概況、大型クレーンや重機を投入して急ピッチで進められている補修工事の説明を受けた。穂保地区の被災者宅では、栽培していたりんご、高額な農機が浸水被害にあったことなどを伺った。
約210名が避難生活を送る豊野西小学校では、保健師から、避難生活の長期化、寒さが増す中でインフルエンザなどの感染症の拡大が懸念されるため、衛生対策をさらに充実する必要があるとの指摘があった。
視察終了後、視察団は長野県庁で阿部知事と面談。知事は「被害総額は県全体で約1300億円と見込まれるが、今後増える可能性がある。被災者の住まいの確保、生活再建までかなり時間を要する」と述べた。さらに、①仮設住宅の要件を弾力化し避難所から早く移れるようにすること、②不通となっている鉄道の代替運送のためのバス借り上げ費用への財政支援など既存の支援措置がない事案への対応、③事業所の再開、営農の継続、再開への支援、④被害を受けなかった地域でも宿泊キャンセルが相次いることを踏まえた観光促進、などの要請を受けた。
古川対策本部長は、「被災した方々に寄り添い、国としてもできるだけの支援をするよう政府に働きかける。県職員は休まずに災害対応にあたっているが、どうか健康に留意してほしい。」と応じた。
面談後のぶら下がり取材で古川本部長は、「災害ゴミを早く処理してほしいという声が多かった。置き場の確保、廃棄物業者に分別を委ね被災者の負担を減らすよう見直すべき。復旧、生活再建には相当お金がかかるので補正予算を今国会中に編成するよう国会で主張していく。」と述べた。羽田県連会長は、「生活再建まで時間がかかると予想されるので、国には今まで以上の支援を求める。党として被災地のボランティアを始めたが、長期にわたって派遣できるように検討していきたい。」と述べた。
視察には、吉良州司副本部長、大西健介国民運動局長、西岡秀子衆院議員、森田俊和衆院議員が同行し、地元から望月義寿長野県会議員、鈴木洋一長野市議会議員が参加した。