玉木代表会見

 「短期的な経済活動を犠牲にしてでも全力で抑え込む、という強い意志が伝わってこない」。政府の緊急事態宣言から一夜明けた8日、本部で開かれた玉木雄一郎代表の定例会見。玉木代表は、十分な補償とセットで厳しく自粛を求めなければ、人々の行動変容に繋がらないのではないか、緊急事態宣言の効果に疑問を投げかけた。
 この日の会見は、出来る限り直接的な接触を減らすため、YouTubeによるライブ配信も活用して行われた。

 冒頭、玉木代表は朝方都内を数時間かけて歩いて回ってみたものの、「(都内の様子は)あまり変わっていないように見えた」「これで安倍総理が求める8割の接触減少が実現可能なのか、かなり疑問が残る」と、緊急事態宣言下の街を歩いた印象を述べた。

 小池百合子都知事らが、通常の美容室や理髪店の営業自粛を求める姿勢であるのに対し、政府の方はそうした考えを示していないことにも触れ、「緊急事態宣言を出した日に、何が自粛の対象になるのかを都が発表できない、というのは大失態だ。もう少し都道府県ときちんと連携を取って進めていかないと、緊急事態宣言の実効性が上がらないのではないか」と、地方自治体と中央政府との連携不足を批判した。

 批判が多く寄せられている政府の収入補償対策については、「きちんとした収入補償もないのに休めないということでは、感染拡大防止の目的が達成できない」とした上で、「ケチケチすることなく十分な補償措置を講じる、その代わりに厳しく自粛に応じてほしい、ということを政府は言うべきだ」と、訴えた。

 さらに政府が導入した補償制度の仕組みについて説明した上で、「この制度の下では、2つの厳しい条件を両方とも満たさないと補償が受けられない。救済が必要な多くの人々が、漏れてしまうことになるだろう」「新型コロナウイルスの余波を受けても給料の減らない我々、永田町の人間達に、危機感とリアリティが欠けていることが問題だ。本当に給料がすごく減って、明日どうなるんだ、という人たちに対して、リアリティをもって彼らの想い寄り添うことが必要だ」と、述べた。

「1世帯30万円」もらえる条件

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「1世帯30万円」の具体例

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 政府の緊急経済対策に関しては、第2弾、第3弾の対策を打ち出すことを求める声が、政府与党メンバーからも上がっていることを取り上げ、「対策を出した傍から次の対策が必要だという声が出てくるというのは、何なのか。対策が必要だったら今入れればいい」と、述べた。国民民主党が打ち出している約30兆円の緊急経済対策についても触れ「我々はGDPが5・5%減少することを想定してこの対策を打ち出した。直近の民間シンクタンクの予想によれば5・7%のマイナスということなので、想定は概ね当たっていたといえる」「わが党が、個人と企業に対し、約20兆円の補償を打ち出しているのに対して、政府案では約6兆円。これではあまりに小さすぎる」と、政府の補償政策を批判した。

 人々が家庭で過ごす時間が長くなる結果、世界的に児童虐待やDVが増加していると報じられていることについては、「日本でも既にストレスで配偶者が殺害された事件が報じられている。わが党として、男女共同参画本部を中心に政策を検討して取りまとめた上で、政府に対してしっかり申し入れを行う」と、述べた。