小熊慎司議員

 国民民主党の小熊慎司議員は、8日に行われた衆院安全保障委員会の閉会中審査の質疑に立った。小熊議員は、7日の参院決算委員会で地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止について、プロセスの検証や関係自治体への説明などを求める決議が全会一致でなされたことを取り上げ、衆院安全保障委員会でも停止決定のプロセスについて、国会への報告を要請するよう委員長に申し入れた。

 次に、米国防総省でアジア太平洋地域の政策を統括するヘルビー次官補代行が18日、一部メディアとの電話会見で「日本政府はより費用対効果の高い代替案を求めるために計画を技術的に見直していると理解している」と述べ、計画は停止されたものの、撤回されたわけではないという認識を示したことを取り上げ、アメリカ政府の認識について日本政府の見解をただした。山本防衛副大臣は明解な回答を差し控えた。

 小熊議員は、イージス・アショアの購入は、安倍総理とトランプ米大統領の首脳会談で決定されたことだと述べ、計画の停止がもたらす日米関係への影響について政府の見解をただした。山本防衛副大臣は「北朝鮮をはじめとした我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえて、独自に判断した」と回答した。

 イージス・アショアのブースター落下問題について、「政府はイージス・アショアの購入を独自に判断したと述べたが、防衛省は兵器を購入する判断能力がなかったことを露呈した」と指摘した。また、イージス・アショア以外のミサイル等でもブースターが落下する可能性があると述べ、国民にリスクがあることを説明し、理解を得るよう強く求めた。

 さらに、アフターコロナに向けて、世界的に「グリーンリカバリー」による経済復興が進められており、洋上風力発電は促進すべきものの一つであると述べた。洋上風力発電施設の開発において、防衛省が所有するレーダー施設との干渉の問題が各地で指摘され、洋上風力開発の発展が停滞する一因になっていると指摘した。その上で、洋上風力との干渉が発生しやすい施設のうち、老朽化した施設については、今後設備更新する際に干渉が起きにくいよう仕様に変更していくべき、洋上風力発電施設をどのように守っていくのか防衛省の見解を求めた。河野防衛大臣は「再生可能エネルギーにはポテンシャルがある」と述べ、防衛省の予算措置にも再生可能エネルギーを組み込んでコスト削減に取り組んでいる考えを示した。