参院で16日、政府提出の「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案」(地域大学振興法案)と「地域再生法の一部を改正する法律案」について本会議質疑が行われ、国民民主党・新緑風会からは矢田わか子議員が質問した。
地域大学振興法案は、地域における若者の修学及び就業を促進し、地域の活力の向上及び持続的発展を図るため、(1)地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度(2)特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制(3)地域における若者の雇用機会の創出――を主な内容とする。
地域大学振興法案について矢田議員は、「地域での大学の振興と雇用機会の創出のために、東京23区内の大学の定員を抑制しようとする」ことが主たる政策目標ではないかと指摘した。政府は2014年以来、2020年時点で地方と東京圏の転出入を均衡させるという基本目標を掲げているが、若者を中心に東京圏への年間転入超過が拡大傾向にあることから、東京23区の大学の定員抑制を打ち出したものだと矢田議員は分析。そのうえで、「このことが有効に機能し、地方創生に効果を発揮するという確証はない」と疑問を呈し、梶山弘志内閣府特命担当大臣の認識をただした。
梶山大臣は、「2015年の18歳人口に占める入学者総数の割合及び東京都の大学入学者数が将来も維持されるとした場合、東京以外の道府県の大学で大幅な定員割れを生じかねない」と指摘。放置しておけば、地域間で高等教育の修学機会の格差が拡大しかねないことから、「東京23区の大学学部について原則として定員を増やさないこととした」と定員の抑制措置に理解を求めた。