参院で16日、「森林経営管理法案」の本会議質疑が行われ、国民民主党・新緑風会からは徳永エリ議員が質疑に立ち、(1)木材生産と輸出(2)木材の「主伐期」と資源の活用法(3)森林所有者の責務と外国資本(4)新規参入業者と労働災害――等の課題を取り上げた。
本法案は、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るために、新たな経営管理の仕組みを講じようとするもの。森林所有者の経営管理の責務を明確化するとともに、森林所有者自らが経営管理を実行できない場合に、市町村が経営管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託し、再委託できない間の森林は市町村が経営管理を行えるように規定するもの。
徳永議員は、「林野庁は、『林業経営の経験のない民間企業や外国資本の新規参入も、一定の要件を満たせば排除しない』としている」と指摘し、外国人所有者や素性の分からない法人が所有する森林管理の責務をどのように果たすのかを追及。
林業の労働実態については、「派遣会社を通して集めた、林業の経験のない若者などを現場に連れて行って、間伐などの施業を行っているケースがあると聞く」と述べ、「民間の事業者が林業経営に参入する中で、経験の浅い労働者が現場で増加すれば、労働災害のリスクが高くなるのではないか」と懸念を示した。そのうえで、林業での死亡事故を含む労働災害の発生率が全産業の平均値と比べて突出して高く、事故発生時の対応も、山の中で携帯電話の電波状況が悪く、救急車も到着に時間がかかり、ドクターヘリも着陸できるスペースがないことを指摘。このような想定への対策として、「民間事業者の新規参入に当たっては、労働者の要件の適切な設定、これまで以上に徹底した研修等、安全対策を講ずる必要がある」と強く訴え、政府に迫った。