参院で25日、「消費者契約法の一部を改正する法律案」の本会議質疑が行われた。国民民主党から質問に立った森本真治議員は、消費者の知識、経験、理解力、判断力等の不足等によって不利益がもたらされることのないよう法律の拡充が必要との観点から(1)「平均的な損害の額」の立証責任(2)「平均的な損害の額の立証に関する推定規定」の措置を盛り込んだ改正案の提出時期(3)消費者委員会の答申で付された喫緊の課題や、専門調査会が指摘する積み残し課題への今後の対応スケジュール(4)不当な勧誘行為の類型として追加されたものの要件「当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから」が示す内容(6)「社会生活上の経験が乏しい」若年者の想定年齢と具体的内容(7)衆院で修正された霊感商法等は社会生活上の経験の乏しさに関係なく救済されるのに対し、「不安をあおる告知」や「恋愛感情に乗じた人間関係の濫用」については救済の対象を狭めたままであることから、2つの整合性をどう取るか――等に関して質問した。

 消費者契約法は、消費者契約に関する包括的な民事ルールとして2001年に施行。2006年改正で消費者団体訴訟制度を導入。2008年改正では差し止め請求の対象を拡大、2016年改正では「取り消し・無効に関する民事ルール」を改正。衆参両消費者特別委員会で今後の検討課題について必要な措置を講ずるべき旨の付帯決議がなされた。その内容は、「勧誘要件の在り方、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、平均的な損害額の立証責任、条項使用者不利の原則、不当条項の類型の追加」などで、2015年報告書で課題とされた論点について、成立後3年以内に必要な措置を求めるとされていた。今回の改正案はこの論点にそって政府が改正事項をまとめたとされるもの。

 森本議員は、調査会で措置すべきとされながら法案に盛り込まれなかった「平均的な損害の額」の立証責任について、「結婚式場などのキャンセル料をめぐるトラブルが多発する中、本法第9条第1号で契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える損害賠償の額を予定し、違約金を求めることはできないことになっている。しかしキャンセル料が『平均的な損害の額』の範囲かどうかを消費者が立証することは、立証に必要な資料が事業者側にあることなどから、非常に困難だ」と述べ、損害額を主張している事業者が立証すべきだと説いた。大臣は「基本的には消費者が立証責任を負うものとされている。この立証責任を転換することについては消費者委員会の消費者契約法専門調査会における検討ではコンセンサスが得られず改正事項として提案されなかった」と答弁した。前回の付帯決議で、「平均的な損害の額の立証に関する推定規定」の措置を含め、残された課題について遅くとも3年以内に必要な措置を講ずべきとした点について、その期限である今後1年以内には改正案提出を目指すのかを問うと、大臣は「今後は裁判例のさらなる調査、標準約款における損害賠償の額を予定する条項の作成過程に関する業界ヒアリングなどに取り組むことを考えている」と答弁するにとどまり時期は明言しなかった。

参院本会議消費者契約法改正案質疑・森本真治議員予定稿