衆院本会議で29日、「民法の一部を改正する法律案」の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決した。採決に先立ち国民民主党の源馬謙太郎議員が反対の立場から討論した。

 源馬議員は、「成年年齢を20歳から18歳に改めること自体、あるいは、女性の婚姻適齢を16歳から18歳に改めること自体に反対するものではない」「国民投票法、公職選挙法において投票年齢が18歳に引き下げられ、若い世代の声が政治や社会の決定に反映され、そのことによって若い世代の社会参加を促すことは、わが国にとって大切なことだし、若者が一人の大人として自立し、それに伴う責任を持つ年齢が引き下げられることはいたって自然なことではないかと考える」旨を前置きした。

 そのうえで法制審議会による2009年の「民法の成年年齢の引き下げについての意見」のなかで、引き下げの法整備を行うには、(1)若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大等の問題点を解決する施策の実現(2)それらの施策の効果が十分に発揮されていること(3)それが国民の意識として現れていること――との3つのハードルが必要だと指摘していることにも言及し、「果たしてこれらの条件はクリアされ、引き下げの環境は本当に整備されたのか」と疑問視し、3つのハードルに関して問題点を指摘した。

 「施策が実現されたかどうか」に関する問題点としては、「もっとも影響が危惧されている消費者被害が新たに成年となる18歳19歳に拡大しないかという点がある」と指摘。「消費者契約法の改正により少し前進はしたものの、その対象となる類型があまりにも限定的で、これまで未成年者取消権で守られてきた若年者を救うことは困難。現在の消費者被害の件数は、成年である20歳を超えると激増しているのは、それ以下の若者が未成年者取消権で保護されてきたため。この未成年者取消権で守られている18歳、19歳の若者を、消費者被害から守る手立てが担保されているだろうか」などと語った。

 問題点を指摘したうえで源馬議員は「何歳から大人として扱い、自立を促し、社会参加とともに経済活動の自由を与え、そして責任を持たせるのか、という骨太の議論をすべき。この国が、どこからを大人とするか、若者に責任と自立を与えるのか、そこをぜひ議論したい」「同時に、成年と未成年の線が引かれることで生じる問題点や懸念などをからどうやって若者全体を守っていくのか、その整備を先にしていくべき」だと問題提起した。

衆院本会議民法改正案源馬謙太郎議員反対討論予定稿