参院で13日午前、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の承認案について本会議で採決が行われ、与党などの賛成多数で承認された。採決に先立ち国民民主党・新緑風会を代表して徳永エリ議員が反対の立場から討論を行った。
徳永議員は、CPTPPに反対する4つの理由を掲げた。第1の理由は、「衆院の外務委員会では、わずか3日、審議時間にしてたった6時間で採決し、野党の反対を押し切って本会議に緊急上程し、その日のうちに可決させてしまった。参院では、さらに少ない2日間、5時間35分の外交・防衛委員会での審議だった」と指摘し、本条約にかかわる国会審議が不十分だと問題視した。
第2の理由として、CPTPPの交渉の中で他の締約国が自国の産業にとって不利益と思われるルールの項目の凍結を求め、22項目の凍結を実現させたにもかかわらず、「わが国政府は、最も大きな影響を受ける農林水産業について、内容の見直しを求めなかった。その結果、TPPでわが国が行った譲歩が、米国が離脱したにもかかわらず、そのまま維持されることになった」と指摘。
第3の理由として、政府が実施するCPTPPによる農林水産物への影響試算のあり方に疑問を呈した。「為替の変動も人口減少や高齢化による国内消費量の将来動向もまったく考慮されていない。試算の対象となっている品目は、農産物では19品目、林水産物では14品目とわずか33品目だけ」などと問題点を列挙。熊本県が行った試算で国の試算の2倍の影響額となっている事例を示し、「国の試算は信用できない」と試算を見直すよう求めた。
第4の理由として、「CPTPPで食の安全が守れない」と懸念を示した。CPTPPでは、輸入品を「原則48時間で引き取りできるようにしなければならない」と規制が緩和される点に関して、「はっきりと危険だということが証明されない限り規制ができない。つまり、私たちが政府に求めている『予防原則』に基づく慎重な安全性の審査はできない」と述べた。
結びに徳永議員は、「国民生活の安全安心よりも、多国籍企業や金融資本の利益を優先し、労働者から雇用を奪い、賃金の引き下げをもたらし、格差を拡大させるグローバリズムや、自由を失った貿易協定、管理貿易であるTPP、その約8400ページにわたる協定をすべて飲み込んだCPTPPは、わが国の未来に大きな禍根を残しかねない。CPTPPには断固反対する」と述べ、反対討論を終えた。