参院で15日、政府提出の「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案」の本会議採決に先立ち討論が行われ、国民民主党・新緑風会の森本真治議員が登壇した。

 「卸売市場法」の改正案は、中央・地方の卸売市場の開設を従来の認可制から認定制にし、民間事業者の参入も認めるというのが主な内容。その結果、現行卸売市場法では細かく規定されている各種取引ルールが、新制度ではすべて各卸売市場が自由に設定できることになる。 また卸売市場の取扱い品目が食品と花きであれば制限がなくなり、例えば現行制度では扱えない米も扱えることになる(医薬品目的など特殊なものについては制約が課せられる)。

 「食品流通構造改善促進法」の改正案は、食品等の流通の合理化を推し進めようとするもので、農水大臣に合理化のための基本方針や事業計画を策定する権限を与える。農産物などについて中間搾取を減らし、農業者所得の向上を目的とする。スーパーの買いたたきなど不公正取引が問題化していることを受け、そうした不公正取引があれば、公正取引委員会に通知することを定める。

 森本議員は、本法案への反対を表明し、その理由として(1)現行の卸売制度を大転換しなければならない立法事実がないこと(2)公的関与が後退し、卸売市場の公共性が損なわれてしまうこと(3)本改正案の認定制では認定される卸売市場の運営が現在の卸売市場のように公平・公正であり続ける法的担保がないこと(4)本改正案が導入する「食品等流通調査」についても、大臣の調査権限が法律上極めて弱く、優越的地位の濫用などの不公正な取引の歯止めになるような実効性が無いこと(5)以上の反対理由が全て重なり、その結果卸売市場が支える地域経済の崩壊につながること――をあげた。
 
 今後、人口減少時代を迎えるにあたり卸売市場の数の増設は必要が無いが、取扱量の減少により卸売市場は経営が苦しくなる。そのことについて森本議員は、「当該市場を必要とする生産者、消費者に対するサービスをどのように維持していくのか、国や都道府県が責任を持って対応していくことが、今後重要だ」などと訴えた。

卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案森本真治議員反対討論原稿(未定稿)