衆院で19日、政府提出の「特定複合観光施設区域整備法案」(IR法案)の本会議採決が行われ、与党などの賛成多数で可決された。採決に先立ち、国民民主党の源馬謙太郎議員が反対の立場から討論を行った。
この中で源馬議員は、「このIR法案に反対する理由はただ一つ。IR施設の中に必置施設として作られ、またIR全体の収益を左右する肝心要のカジノ施設について、不安が払拭し切れていないことにつきる」と訴えた。源馬議員は「多くの国民が反対し、不安を持っているカジノを含むIRを、今すぐに、どうしても決めなくてはいけない理由はない」と指摘。そのうえで(1)カジノ事業者が貸し出す金額を顧客ごとに自分たちで決めるのではなく法律で上限を定める(2)貸金業務を行うカジノ事業者への外資の参入の規制(3)カジノにおいて上限金額を定めたり、自ら上限金額を設定する仕組み――などをを検討すべきだと問題提起し、こうしたことを行ってもIR施設に困ることはないと思うとの見方を示し、「もう一度立ち止まってこの法案に反対していただくことをお願いする」と与党議員に呼びかけた。
「表向きは『海外からの誘客』や『日本の魅力の世界への発信』などと、まるで海外からの観光客に焦点を絞っているような言葉が並びながら、実際には日本人客を対象にしているということが委員会質疑でも明らかになった。ゲーミングの一つとしてカジノを楽しむことでお金を使うことも、すべてを否定するつもりはない。問題なのは、そこに、のめり込んでしまう要素をいかに排除するかということ」だと源馬議員は指摘し、特に特定金融業務についての不安を取り上げた。「ギャンブルにはまってお金をどんどん使ってしまう人が陥る典型例は、負けが込んだら取り返そうとしてさらにお金を使ってしまうという連鎖だが、カジノ事業者がギャンブル客にお金を貸すことができるというこの法案には、驚きしかない」などと問題視した。この点に関して衆院内閣委員会で、「外国人と、一定の預託金を預けられる富裕層のみが対象だから問題ないといった政府からの説明があったが、果たして本当にそうか」と源馬議員は疑問を呈し、「ギャンブルで負けが込んだ人が陥るわなは、あと少しやったら取り返せるんじゃないかという気持ち。これは、その人が裕福かそうでないかは関係ない」と指摘した。