野党5党1会派(国民、立憲、無会、共産、社民、自由)は19日、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」「保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案」「産後ケアセンターの設置の推進のための児童福祉法及び社会福祉法の一部を改正する法律案」を共同で衆院に提出した。国民民主党からは、大西健介、白石洋一、山井和則、柚木道義各衆院議員が衆院事務総長への法案手交に加わった。3法案(PDFダウンロード参照)の概要は次の通り。

 提出者の1人である山井和則衆院議員は、提出後の記者会見で特に保育士等の処遇改善法案について、「2年前にも保育士の賃金を5万円引き上げる法案を提出したが、それが1つのきっかけとなって、政府の施策に処遇改善が取り込まれたと思っている。賃金を5万円引き上げる今回の法案によって、必ずや保育士のさらなる処遇改善に役立つものと確信している」と法案提出の意義を語った。

介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案

 介護・障害福祉従事者は、要介護者等・障害者等が自立した生活を営み、生活の質を維持向上させることや家族の負担を軽減して介護離職等を防止することについて重要な役割を担っているにもかかわらず、その賃金は他の業種に比較して低い水準にある。

 本法案は、介護・障害福祉従事者の賃金改善のための特別措置等を定めることにより、優れた人材を確保するもの。介護・障害福祉従事者の賃金を改善するための措置等を講ずる事業者等に対し、次の(1)または(2)の助成金を支給

(1) 「介護・障害福祉従事者処遇改善助成金」

 ※介護・障害福祉従事者のみを対象に、平均して1人当たり月額1万円賃金を上昇させることを想定。

(2) 「介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金」

 ※介護・障害福祉従事者及びその他の従業者も対象に、平均して1人当たり月額6千円賃金を上昇させることを想定

 ※助成金の額は、必要な財源を確保しつつ、段階的に引き上げる。

介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案概要

介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案要綱

介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案

介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案新旧対照表

保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案

 子どもが健やかに成長できる社会を実現するために保育等従業者(保育士等)が重要な役割を担っているにもかかわらず、その賃金は他の業種と比較して低い水準にある。しかし、政府が2017年度から実施している保育士の処遇改善は、全職員に対する処遇改善が少額であったり、月額4万円の処遇改善の対象が経験年数7年以上と限定的であるなど、十分なものとは言えない。

 本法案は、保育士の処遇を改善し、優れた人材を確保するため、保育事業者等に「保育等従業者処遇改善助成金」を支給するもの(保育士等1人当たり月額5万円の賃金上昇を想定)。その他、保育等従業者の業務に係る負担の軽減、資質の向上、経験等についての適正評価のための仕組みの構築等に関する規定も盛り込んでいる。

保育士等処遇改善法案概要

保育士等処遇改善法案要綱

保育士等処遇改善法案

保育士等処遇改善法案新旧対照表

産後ケアセンターの設置の推進のための児童福祉法及び社会福祉法の一部を改正する法律案

 現行法において、「産後ケアセンター」(※)は、宿泊を伴うものは旅館業法の適用を受け、建築基準法上の用途地域制限により建築面積の制限を受けてしまうといった問題があることから、開設が困難な状況にある。

 本法案は、「産後ケアセンター」の開設を推進するため、(1)「産後ケアセンター」を児童福祉法上の児童福祉施設と位置付けることで旅館業法の適用を受けない施設とし、建築基準法上の第一種及び第二種低層住居専用地域内での建築制限の適用を受けないようにする(2)多様な主体による開設を容易にするため、「産後ケアセンター」を設置主体の制限のない第二種社会福祉事業に位置付ける。

 ※「産後ケアセンター」は、原則として出産後4カ月以内の女子であってその行う乳児の養育について援助を必要とするもの及び当該乳児を短期間入所させて、これらの者の心身の健康を保持させるとともに、養育に関する相談、指導、助言その他の援助を行うことを目的とする施設

産後ケアセンターの設置の推進のための児童福祉法及び社会福祉法の一部を改正する法律案概要

産後ケアセンターの設置の推進のための児童福祉法及び社会福祉法の一部を改正する法律案要綱

産後ケアセンターの設置の推進のための児童福祉法及び社会福祉法の一部を改正する法律案

産後ケアセンターの設置の推進のための児童福祉法及び社会福祉法の一部を改正する法律案新旧対照表