「不合理・不公平の入試を文科省は了承するのか」。22日、衆院文部科学委員会 の閉会中審査で城井崇議員が質問に立った。来年1月予定の大学入学共通テストの日程を、国が複数用意したことについて、「異なるテストの相対評価で(同一募集枠の)合否を決めるのは不公平だ」と指摘。試験日程を統合するとともに、コロナ禍の影響を受けた受験生に配慮し、試験日程を1か月程度後ろ倒しにすることを求めた。
城井議員は、これまで実績のあるセンター試験の本試験と追試験の過去データを使い、追試験で特定順位だった受験生が、同じ受験集団で本試験を受けた場合、大幅に順位が下がるケースがあることを指摘(例えば、令和2年度の数学IAの試験では、追試験で100人中31番目の人が本試験では50番目に下がる、平成28年度の国語の試験では、追試験で100人中16番の人が本試験では50番に下がる、等の試算。参考:下記、添付資料「大学入試センター試験のモニター調査結果について」)。「(試験を別の日程で行った場合、2つの試験は)全く同等ではないというふうに言わざる得ない」と、結論付けた。
城井議員は、コロナ禍の影響を勘案し、日程をずらすという政府の発想には理解を示した上で「第1日程と第2日程は統合して、2週間か1か月間ずらしてやるというのが『公平で合理的な入試』の方法だ」と、政府に方向転換を強く訴えかけた。また「これ(日程)を分けたままだと、受験生個人に運不運や自己責任を押し付けてしまうことなる」とも述べた。
大学入試における主体性の評価などに使われる「JAPAN e-Portfolio(ジャパン・イー・ポートフォリオ)」についても、その運営主体である一般社団法人教育情報管理機構の運営体制についてさまざまな疑義が生じていることを指摘。「1日も早く運営許可を取り消すべきだ」と主張した。これに対し、萩生田光一文科大臣は現在、同機構の運営資格を取り消す方向で協議していることを明らかにした。
また質問の冒頭、今年5月に創設された学生支援緊急給付金について取り上げた城井議員は「元々基準が厳しすぎる中、まだ給付を受けていない学生が多数いる」と指摘。「諦めて退学に至らぬように、きめ細やかに届く支援をすべきだ」と、より柔軟な対応を政府に求めた。