参院本会議で27日午前、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会、日本共産党、希望の会、沖縄の風の各会派が共同提出した加藤勝信厚生労働大臣問責決議案が審議された。国民民主党の足立信也議員が趣旨説明、小林正夫議員が賛成討論を行ったが、決議案は賛成少数で否決された。
足立信也議員趣旨説明
足立議員は、問責決議案提出の理由について、加藤大臣による厚生労働行政が数々の問題を引き起こした点を列挙。特に審議中の働き方改革関連法案をめぐっては「法案作成の基礎となる労働時間の調査データのねつ造が発覚し、裁量労働制の項目を全文削除した」「裁量労働制で働く労働者の健康及び福祉を確保するための措置をなぜ法案から削除したのかの明確な答弁はないままだ」などと、法案提出前の問題点を指摘した。
働き方改革関連法案にある高度プロフェッショナル制度については、「働かせる側のニーズから出た『働かせ方改革』」であり、その本質は「残業代の削減にほかならない」と問題視。法案提出以降にも不適切なデータや異常値が多数発見されたことを指摘し、「法案に対する信頼性は失われ、審議の土台が崩れているにも関わらず、頑なに正当性を主張して法案審議を強行した大臣の責任は重大だ」と断じた。
最後に国民民主党が参院に提出した労働安全衛生法改正案、いわゆるパワハラ規制法案に触れ「これは2013年5月、国連の社会権規約委員会の日本への『長時間労働及び過労死に対する勧告』に対応するもの。職場内でのパワハラだけでなく、親会社や取引先からのパワハラ、顧客やユーザーからの過剰クレームなどから『働く者』を保護するための措置を講じるよう、事業者に義務付ける内容だ」と説明し、同法案成立に協力を求めた。
小林正夫議員賛成討論
小林議員は、問責決議案に賛成する理由として、加藤大臣が進める働き方改革関連法案に関して(1)労働時間に係る虚偽データ問題をめぐる不十分な対応(2)データ問題に関連して、都合の悪い情報を隠ぺいする体質が如実に表れていること(3)立法事実のない高度プロフェッショナル制度をあたかも労働者自身が求めている制度であると強弁してごり押しする姿勢(4)委員会審査が進むにつれて、誰にも必要とされていない高度プロフェッショナル制度の課題がますます浮き彫りとなっている点――などの問題点を取り上げた。そしてこれほどの欠陥や誤りが露見した後でも法案を撤回せず、不誠実な答弁ばかりを繰り返す加藤大臣に対して「国民の代表が集う国会を軽視する表れそのものではないか。国会を再三再四軽んじる姿勢は、民主主義の根幹を揺るがすものであり、立法府として与党も野党も関係なく、決して容認されてはならない」と断じた。