国民民主党の大塚耕平共同代表は27日午後、党首討論(国家国会基本政策委員会合同審査会)に臨み、15日に政府が閣議決定した経済財政運営の指針である「骨太の方針」に盛り込まれた外国人労働者の受け入れ拡大政策や基礎的財政収支(=プライマリーバランス)の黒字化の目標時期を2025年度までと5年先送りしたこと等について討論を行った。

 外国人労働者の受け入れ拡大は、中小企業等をはじめとした人手不足の深刻化に対応するもので、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れるため、就労を目的とした新たな在留資格を創設。在留資格の上限を通算5年とし、家族の帯同は基本的に認めないが、滞在中に高い専門性を有すると認められた者については在留期間の上限がなく、家族帯同を認める在留資格への移行措置を整備する方向と政府はしている。

 大塚共同代表は、外国人労働者の受け入れを拡大することについて、「(外国人労働者を受け入れないと)成り立たない中小企業や産業があるのは理解している。外国の方を受け入れて多様性のある社会を目指す方向性は共有したい」と認める一方、「外国人労働者の増加が国内の労働者に与える影響とか社会保障制度に与える影響をじっくり検討したうえで踏み切るべきだ」と拙速に議論を進めることをけん制。「一部の専門家の皆さんは移民政策だと表現される人もいる」と述べ、この問題について(1)時間をかけて国会で議論をしたうえで対応するのか(2)安倍総理が定義する移民――について安倍総理に質問した。

 安倍総理は、(1)の質問について、「国会でしっかり審議をしていただき、結論を出していただきたい」とし、(2)の質問について安倍総理は移民の国際的な定義はないとしつつ、「今回の受け入れは移民政策ではない。移民政策は例えば、国民の人口に比して一定程度のスケールの外国人及びその家族を期限を切ることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策。そういう政策はとらない」と答えた。これに対し、大塚共同代表は、「よく引用されるのは1997年の国連事務総長の報告書に、『自国以外に移動して少なくとも12カ月居住するのは移民』というカテゴリーで議論しているので、骨太の方針で掲げられた新しい仕組みによって入ってくる人はそういう定義には当てはまる」と指摘した。

 さらに大塚共同代表は、「安倍政権のもとでは賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという傾向が続いている」と指摘。そのうえで、「私たちは、日本人であれ外国人であれ賃金は働きに見合ってしっかり上昇していき、そしてそのことが消費や国民経済の活性化につながって、(子どもを)生み育てやすい社会ができて日本人の少子化傾向が是正されて、そしてやがては日本人の労働者も増えてくる。こういう社会を目指すべきであり、国民民主党はそういう方向に向けた政策をこれからしっかり出していくので政府にも正面から受け止めてほしい」と今後国民民主党が打ち出す政策の議論を呼びかけた。