参院で6日、政府提出の「特定複合観光施設区域整備法案」(IR整備法案)の本会議での趣旨説明・質疑が行われ、国民民主党・新緑風会の矢田わか子議員が質問に立ち、カジノに対する国民の不安、カジノの対象者、カジノの経済効果――等について安倍総理らに見解を求めた。

 矢田議員は冒頭、「ギャンブル依存症対策」に関する2つの議員提出法案が参院内閣委員会で審議されている最中に、6日から本会議で「IR整備法案」が審議入りしたことについて、「『ギャンブル依存症対策』に関する法案の成立を前提とすることは与野党共通の認識であったはず。内閣委員会を軽視した今回の対応について遺憾の意を表したい」と政府・与党の国会運営を問題視した。

 IR整備法案の質問では、「カジノ解禁に関して数々の世論調査でも明らかになっているように、依然として国民の十分な理解が得られていない」と指摘し、その理由として多くの国民の間に「カジノに対する不安」があるからだと説明。IR推進法が成立して1年半が経過したが、「国民の不安を解消するには至っていない」状況で、政府が本法案を国会提出したことに対して「国民に対して本当に説明責任を果たしてきたのか」と総理の認識をただした。

 カジノの対象については、IR推進法案の審議でカジノが海外からの観光客を対象にした施設とされてきたが、「いつの間にか、カジノは日本人を主に対象とする遊興施設という性格が強まってきた」と指摘。日本には、パチンコや公営ギャンブルにはまって抜け出せない依存症の人が大勢いるのに、日本人をターゲットにしたカジノに性格が変わってきたことについて、「入場制限対策だけで日本人のギャンブル依存症を防止できるのか」に石井国交相にただした。

 IRの経済効果については、「IRは、初期投資と施設の運営において大きな経済効果や雇用拡大効果を産むかも知れない。しかし、施設全体が継続的にイベントを開催し、集客力を維持していけるかどうかは、安易に予測はできない」と疑問を呈した。「もし経営が困難になれば、地域経済にも大きなマイナスの影響を与える」と懸念を示し、IRの経済効果と経営の見通し、経営難に陥った時の対応について国交相にただした。

 そのほか矢田議員は、カジノ解禁にかかわる刑法の賭博罪の違法性阻却問題、IRの観光資源力、法案に盛り込まれた規制のあり方に関連してカジノ施設の規模の上限設定の問題、カジノ事業者が客に対して貸金業務が行える問題、入場制限の問題、マネーロンダリング対策、オンライン・カジノの規制についてただした。そして最後に「ギャンブル大国と言われている我が国おいて、これ以上、ギャンブル依存症患者が増えないよう政府の対策強化を求める」と述べ、質問を終えた。

IR整備法案矢田わか子議員質問(予定稿)