「私設秘書の通行証はこういうものだ」と示す後藤議員

 2日の衆院予算委員会の補正予算審議で、国民民主党の2番手として質問に立った後藤祐一・政務調査会長代行は、冒頭「国民民主党は、厳しい追及と建設的な提案をバランス良く織り交ぜて、国民の皆さんにこういう答えもあるのかとしっかり示す質疑を目指したい」と宣言。「今回の補正予算の財源」「被災者生活再建支援金の運用」「消費税引き上げ決定の時期」「日米通商問題」「片山地方創生相の口利き疑惑」を取り上げた。主なやりとりは次の通り。

●補正予算の財源

 後藤:今回の補正予算の歳入は借金(建設公債)が6950億、前年度剰余金受け入れが2364億で合計9356億円だ。前年度剰余金は9050億円ある。これでほとんどの財源は賄えてしまう。さらに予備費も1561億円残っている。合わせて1兆円あるのだから、借金しなくても補正予算が組めるのではないか?

 麻生財務相:前年度剰余金の半分は国庫に繰り戻すルールだ。公共土木、災害復旧が占める割合が多く、財政法第4条に基づいて建設公債で補う。それ以外は決算剰余金を充てている。

 後藤:もうひとつ財源がある。今年度の税収見積もりの上振れ分だ。実際に2010年11月に組まれた当時の民主党・菅政権の補正予算は4兆4千億円のうち、前年度剰余金2兆2千億と当年度の税収上振れ分2兆2千億で全て賄っている。借金をしていない。来年度通常予算で入りきらなかった筋の悪いもので膨れあがった補正予算を来年1月にはもう一度作る、その財源になっていくのではないか。毎回こんなことを繰り返していては財政再建は進まない。

 後藤:西日本豪雨災害の被災地、岡山県総社市下原地区ではアルミ工場が大爆発して周辺の住宅に大きな被害があった。これに対して被災者生活再建支援金が出るが、事務方にきくと、この支援金は自然災害には出るが、それ以外は一義的には工場の賠償責任が認められた場合には返還を求められる場合があると聞いた。これはあまりにも酷ではないか。爆発も水害が原因だ。政治決断すべきではないか。

 総理:賠償事故による被害者世帯は対象にならないが、制度創設以降、ご指摘のような返還請求を行ったケースはない。この答弁から私たちの意思を受け取ってほしい。

 後藤:総理が自然災害と認めたのは大きな進歩であり評価したい。

●消費税増税の決定時期

 後藤:消費税は来年10月に本当に10%に上げるのか。総理は「リーマンショック級の出来事が起こらない限りは上げる」というが、どこかで聞いたせりふだ。2016年6月の参院選挙直前に「新しい判断」という言葉を使って先送りを決断した総理から、また同じことを言われても全く信用できない。実際に日本中の小売店を中心とした中小企業も対応に悩んでいる。2度あることは3度あるのではないか。

 総理:経済の動向等を見ながら適切に判断しなければならない。時期や事態については予断を持って申し上げることは出来ない。

 後藤:来年4月に統一地方自治体選、7月は参院選がある。選挙が終わるまで決定しないのではないか。しかし来年度予算を組むために、経済見通しを遅くとも今年12月までには決めるべきと提案しておく。

●日米通商問題

 後藤:日米の2国間通商交渉について、総理は、農林水産品でTPP以上の関税引き下げはないと約束できるか。

 総理:わが国としてはこれまでに締結した過去の経済連携協定ではTPPが最大限。それを大前提として交渉する。国益に反する合意をするつもりはない。

 後藤:日本とEUのEPAも過去の協定に含むのか。日本がTPPよりも降りている部分もあるが。

 茂木経済再生相:含む。個別品目で内容が異なるものもあるが、全体としてTPPの水準がこれまでの最大限であり、アメリカにもその旨説明している。

 後藤:でこぼこがあるが日本が譲っているところもあると認めた。さっきの総理の答弁は何だったのか、嘘じゃないか。

●片山地方創生相の口利き疑惑

 後藤:片山大臣は南村氏を私設秘書ではないと答弁しているが、南村氏が参院議員の私設秘書しかもらえない通行証と呼ばれている出入記章を持っていたのではないか。

 片山地方創生相:南村氏を秘書として給与報酬を払ったことはないし、指揮命令系統で使用関係もない。私設秘書については法令上定義がない。その上で、南村氏から強く要望されたので2011年10月から2015年5月まで保有をしていて、その後返納された。

 後藤:私設秘書でなければ入手できない「通行証」を持っていた、すなわち私設秘書だ。定義は関係ない。貸与証には「私設秘書」と明記されている。これを入手するには議員と本人から申請書が必要だ。議員が私設秘書と認めた公式書類だ。参議院事務局から入手して提出してほしい。

 片山 書類は問い合わせて確認しているが今のところ入手できていない。入手する努力をする。

 後藤:南村氏が受け取った100万円の全部または一部の、大臣ご本人か経営する会社、政治団体への支払いはなかったか。

 片山:税理士の法人に振り込まれ、同年の事務報酬として税務申告されている。

 後藤:週刊誌のウェブサイトで片山大臣の声が公開されている。ご自身の発言か?

 片山:近い関係者とともに聞いたが、聞きづらいので自分の声かどう判別できなかった。

 後藤:他の大臣も含めた資質問題についての集中審議を求める。