参院で5日、2018年度補正予算審議のための予算委員会総括質疑が開かれ、国民民主党からは徳永エリ議員が質問に立った。
冒頭、徳永議員は、国民民主党の男女共同参画推進本部長の立場から、10月2日に発足した第4次安倍改造内閣で閣僚に起用された女性がたった1人、しかもその唯一の起用が片山さつき地方創生担当大臣であった理由について安倍総理にただした。片山大臣の資質について徳永議員は、今回報道されている口利き疑惑に加え、(1)2014年の御嶽山の噴火の際、「民主党の事業仕分けの結果、御嶽山が監視の対象から外れた」など事実誤認に基づく情報を流布したこと(2)外交安全保障委員長を務めた際、理事懇談会に再三遅刻し、涙の謝罪を迫られたこと(3)西日本豪雨の際、いわゆる赤坂自民亭でのVサイン写真が出回ったこと――など、これまでの多数の失言や失態などを取り上げて、安倍総理の起用に強い疑問を呈した。
続いて9月26日の日米共同声明の結果、両国で交渉に入るとされた、いわゆるTAG(物品貿易協定)を取り上げた。「FTAとは別物」という安倍総理の説明について、研究者の説を紹介しながら、「特定国の間で関税を撤廃する協定は、国際ルール上はFTAに他ならない。全く別物というのは、うその説明だ」と指摘した。さらに、米国が画策した自動車への高関税は、一方的な関税引き上げを禁止した国際ルールに反しているにもかかわらず、日本は牛肉の関税率を本来の50%に戻すといった本来の合法的な対抗策を講じなかった。TAGは明らかにFTAであり、日本は自動車の追加関税を回避するために米国の圧力に屈し、TAG交渉に合意したのではないか、とただした。徳永議員は「北海道を含め全国の農業関係者の方々は、TPP・日欧EPA、こういった交渉の結果によって、本当に先の見えない不安を抱いておられる。特に最近は災害や異常気象が多く、北海道でも生産量が大きく落ち込んでいる。農家の皆さんが意欲をもってしっかりと再生産ができるように交渉をしてほしい」と安倍総理に要請した。
安倍総理が所信表明演説の中で、70年ぶりの抜本的な改正を行うことを明言した「漁業法」についても取り上げた。徳永議員は、今回の改正が農協法の改正と同じような経過をたどっていることに懸念を表明した上で、当事者である漁業者、特に沿岸漁業者に全く伝わっていないことや、水産政策審議会でも全く議論された形跡がないことに疑問を呈し、今後、水産資源利用の規制が強化されたり、利益が大企業や外資系企業などに流出したりすることによって沿岸漁業や家族漁業が縮減するのではないかとの懸念を示した。「本当に70年ぶりの抜本的な改革で、しかもこれだけで浜のみなさんも懸念をしている。この法律に関しては、もっともっと時間をかけてじっくりと議論するべきなのではないか」と徳永議員は指摘し、質問を締めくくった。