8日未明に開かれた参院本会議で採決が行われた「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件」(日EU・EPA承認案)「漁業法の一部を改正する等の法律案」「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」(入管法改正案)の3案件に対して、国民民主党は反対の立場で討論を行った。その他の12案件には賛成した。(写真上は政府の入管法改正案に対する反対討論を行う大野元裕議員)
日EU・EPA承認案に徳永エリ議員が反対討論
徳永エリ議員は「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件(日EU・EPA)」に対し、反対の立場から討論を行った。
冒頭、「政府がこれまで説明責任を果たしてこなかったがゆえに、政府が欧州連合との間でどのような協議をし、それぞれの品目で異なる措置を決めたのか、全く分からない」「わが国は、何を攻めて、何を取ったのか、守るべきものをしっかりと守ることができたのかもよく分からない」などと強い懸念を表明した。また、農業分野をはじめとした林業・木材産業、鉄道分野における本協定による国内産業への深刻な影響を取り上げ、これらに対する具体策を何ら示さない政権の交渉姿勢を問題視した。
最後に、徳永議員は「日EU・EPA協定によって、わが国の第1次産業は、地方の暮らしはどうなるのか、全く分からない。不安だらけの状況と、承認をめぐる採決までの手続きを時間をかけて丁寧に行っていないという乱暴さ。結果ありき、日程ありきで、何でも数の力で押し切ってしまう」などと安倍政権の無責任な対応に強く抗議した。
経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件への反対討論
漁業法改正案に大島九州男議員が反対討論
大島九州男参院議員は、漁業法の一部を改正する等の法律案について、反対の立場から討論を行った。冒頭、東日本大震災当時に故松本龍復興大臣が宮城県知事に対し暴言を吐いたとされた出来事について触れた。事の発端が、今回の漁業法の見直しにつながる特区構想を宮城県知事が強硬に推し進めようとしたことにあったと指摘した。そして当時の松本復興相がなぜ怒ったのかいえば、それは県が漁業関係者の意見集約を怠るなど、コンセンサスを得る努力をしていないように松本復興相の目に映ったからであったことを思い起こさせた。
漁業法改正案に反対する理由として(1)70年ぶりの大改正であるにもかかわらず審議時間が圧倒的に不足している(参院の委員会では、わずか2日の審議時間で強引に採決)(2)漁業関係者への説明が不十分で、理解が進んでいない(3)漁業権の優先順位が廃止されてしまうこと、また引き続き漁業権を免許される条件である「漁場を適切かつ有効に活用すること」という言葉の定義があいまいである(4)海区漁業調整委員会における公選制の廃止――などを挙げた。
入管法改正案に大野元裕議員が反対討論
大野元裕議員は、入管法改正案に、強く反対する討論を行った。
日本が少子高齢化や生産年齢人口の減少に直面し、喫緊の課題に応える責任があることの認識を示す一方で、政府がどれだけ外国人労働者を受け入れるのか、どのように悪質な派遣業者や受け入れ業者を廃止し外国人との共生社会をつくるのか疑問に答えていないことを反対する理由として挙げた。さらには外国人を受け入れるための社会保険制度などの制度設計が明らかになっていないにもかかわらず、拙速に受け入れを拡大する法案を進めようとしていること。また、外国人を受け入れる分野や必要とされる技能水準についての法規定があいまいで、審議時間が不十分なまま、多くが政省令に委ねられていることは賛成する余地がないと強調した。
国民民主党はこうした法案の穴を防ぐために、政府案の法施行を6カ月遅らせ、特定技能のみならずあらゆる外国人労働者をめぐる諸問題に検討を加え、必要な措置を取ることを求めていることを紹介。国民民主党案が求めていることが政府案に欠けている事項だとし、(1)特定技能外国人数について客観的合理的な基準に基づき、特定産業分野ごと及び地域ごとに上限を設定する(2)報酬の高い都市部に外国人労働者が集中することを避ける措置とともに、地域別の上限数を設定する必要がある(3)特定技能外国人に対して報酬が確実に支払われていることを確認する措置を含め、適切な待遇を確保する措置の検討を求めている(4)一号特定技能外国人の扶養家族の在留を可能にする措置の検討を求めている(5)特定技能外国人等に関する社会保障制度及び教育制度のあり方に関する検討を求めている――ことなど国民民主党案が求めていることを説明。山積する問題や政省令に無責任に委任された問題を議論し、国民の理解を得た上で法施行に移行することが極めて重要だと訴え、政府案を否決して国民民主党案を可決するよう求めた。
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案への反対討論