桜井充参院議員

 参院予算委員会での2019年度政府予算3案に関する基本的質疑が4日からスタートし、まず国民民主党の桜井充議員が安倍総理や関係閣僚に対する質問に立った。

 冒頭、児童虐待の根絶に向けての安倍総理の決意を確認。安倍総理は、児童相談所が把握しているすべての児童虐待事案の緊急点検を8日までに完了するとともに、今国会に提出予定の児童虐待防止法改正案などに体罰禁止規定を盛り込む考えを表明した。桜井議員は心療内科医の立場から、早期発見の難しい心理的虐待を解明するには歯科医師による診察が有効であることを紹介し、プロジェクトチームへの歯科医師の参加を提案した。児童相談所への現職警察官の配置も呼びかけた。さらに、児童を虐待する親のカウンセリングと、こうした親に共通する考え方の分析の重要性を説いた。安倍総理は桜井議員の具体的な指摘をふまえて検討すると答弁した。児童虐待相談件数が2000年度から7.5倍に増えた一方、児童福祉司数は2.4倍にとどまっている現状を問題視し、安倍総理と根本厚生労働大臣に児童虐待の根絶に向けて万全な体制を配置するための予算措置を求めた。

 働き方改革に関して、医師の長時間労働問題を取り上げた。特に大学病院と救急機能を有する病院に勤務する医師の勤務時間が週80時間を超えていることや、国立大学病院に勤務する医師の給与は民間と比較して低く、約8割以上の医師が兼業していることを指摘。これは国立大学法人運営費交付金等が毎年減少しているためであり、このままでは処遇が改善されず、働き方改革につながらないとして、柴山文部科学大臣に予算の増額を求めた。

 震災復興に関して、2年後復興庁はどうなるのか、いつまでに方向を打ち出すのかを渡辺復興大臣に質問した。渡辺大臣は後継組織と基本方針を今月中に閣議決定すると回答した。

 安倍総理に、20年後の日本に関して、(1)どのような国になっていると思うか(2)技術立国であり続けられるか(3)先発薬メーカーは生き残れるか――を安倍総理に質問したが、いずれも明確な回答はなかった。桜井議員は科学技術・学術政策研究所による「科学研究のベンチマーキング2017」の調査結果を紹介し、日本の順位の後退や論文数の減少などを科学技術立国としての危機であるとし、予算の増額を求めた。質問の最後に桜井議員は、安倍総理に10年後、20年後の将来の日本を見据えた取り組みを強く申し入れた。

参院予算委員会で質問する桜井充議員

参院予算委員会で質問する桜井充議員