参院本会議で8日、政府提出の「女性活躍推進法改正案」の審議が行われ、国民民主党・新緑風会を代表して礒﨑哲史議員が厚生労働大臣らに法案の不十分点、疑問点をただした。
改正案の主な内容は、女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、女性の職業生活での活躍を推進する計画の策定等が義務付けられる事業主の範囲を拡大するほか、事業主に対してパワーハラスメント防止のための相談体制の整備その他の雇用管理上の措置を義務付けるというもの。
礒﨑議員は、本法案で女性活躍の一般事業主行動計画の策定義務の対象企業が拡大される点に関して、その策定の手続として「働く者の意見を反映させるため、労働組合、労働組合がない場合は従業員代表と労使協定を結ぶことを条件とすべき」と厚生労働大臣に提案した。
本法案でセクハラ行為の禁止が盛り込まれなかった点については、「男女雇用機会均等法によるセクハラ防止措置が導入されてから数十年が経過し、禁止規定を求める声も強いことから、セクハラ根絶のために法律で禁止すべき」だと説き、厚生労働大臣に対応するよう求めた。
さらに、本法案で加害側の事業主に対し、被害側の企業からセクハラ等の事実確認に関して必要な協力を求められた場合、これに応じる努力義務を課している点に関して「被害側が下請けなどの弱い立場の企業である場合、実際に加害側の企業に止めるように求めることは、あまり期待できないのではないか」と疑問を呈した。
これに対して国民民主党など野党が衆院に提出した「セクハラ規制強化法案」には、加害側が強い立場の企業である場合、被害側の企業が厚生労働大臣に措置を求め、大臣が加害側の企業に助言・指導・勧告等を行う仕組みが盛り込まれ、加害側の企業の中で適切な対応がとられるようになると指摘し、厚労大臣に野党案への見解を求めた。
また、昨年の通常国会で成立した働き方改革法の付帯決議に基づいて実施された46社へのヒアリングについて、「半分強の25社が製造業で、顧客からの迷惑行為が多いと思われる小売業は4社、宿泊業・飲食サービス業は1社しかない。これで、悪質クレーム対策について適切な対応が導き出せるとは思えない」とヒアリングの対象業種を問題視した。