悪質クレーム対策法案を手交する川合議員、舟山議員、木戸口議員

 国民民主党は10日、悪質クレームの被害から労働者を守るため、国全体で悪質クレーム対策を推進する「消費者対応業務関連特定行為対策の推進に関する法律案」(通称・悪質クレーム対策推進法案)を参院に提出した。国民民主党会派からは、川合孝典、木戸口英司、舟山康江各参院議員が参院事務総長への法案手交に参加した。

 労働組合のUAゼンセンが行ったアンケート調査で、客からの迷惑行為に遭遇した人の割合が7割を超えるなど、悪質クレーム(迷惑行為)は深刻な社会問題となっている。しかし、政府が提出し、参院で審議中の女性活躍推進法等改正案に悪質クレーム対策は盛り込まれていない。また、国民民主党など野党が衆院に提出した「パワハラ規制法案」は悪質クレーム対策を盛り込んでいたが、与党の反対により否決された。政府・与党が悪質クレーム対策に及び腰であるため、国民民主党は参院で「悪質クレーム対策推進法案」を提出することとした。

 法案提出後の記者会見で、発議者の川合孝典参院議員は「悪質クレームは一企業だけで取り組もうとしても無理な課題。一定のルールをつくった上で、それぞれの企業が同じスタンスで取り組む枠組みをつくらなければならない。そのためには国や行政が主導してガイドラインをつくる必要がある。」と法案の意義を強調した。また、同議員は、参院厚労委員会で女性活躍推進法等改正案とともに「悪質クレーム対策推進法案」を審議するよう各党に求めていることを明らかにした。

 法案(PDFダウンロード参照)のポイントは次の通り。

1.悪質クレームの定義

○従業者等に対し消費者対応業務に関連して行われる行為のうち、従業者等に業務上受忍すべき範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えるおそれのある行為。

2.悪質クレーム対策

○政府内に、従業者等の代表、事業者の代表、専門的知識を有する者で構成する対策推進協議 会を設置し、協議会の意見を聴いた上で、対策の総合的な推進に関する基本方針を定める(基本方針は少なくとも5年ごとに見直す)。
○政府に定期的な実態調査を行わせる(協議会が実態調査の実施状況の評価を行う)。
○国・地方公共団体に基本的施策を義務付ける。

  • 事業者による悪質クレームへの取組を促進するための施策(対応マニュアル策定等のための指針の策定、情報提供、助成、事実の把握・記録の作成のための支援等) 
  • 被害者に対する相談対応、保健・医療面でのケア、再就職促進
  • 調査研究の推進
  • 国民の理解を深めるための啓発・教育
  • 関係省庁、労働者団体、事業者団体その他民間団体等の間における連携協力体制の整備
    ――など。

○国民の間に広く悪質クレームを防止することの重要性に対する関心と理解を深めるため、啓発月間(10月)を設ける。
○法律の施行後2年を目途とした悪質クレームに対する規制の検討を政府に義務付ける。

※対策の前提

○消費者が苦情の申出等を行う機会を十分に確保すること等その利益を擁護することが重要である。(法案の目的に明記)
○消費者からの苦情の申し出等を不当に妨げることのないよう特に配慮する。(法案の基本理念に明記)

PDF「悪質クレーム対策推進法案の概要」悪質クレーム対策推進法案の概要

PDF「悪質クレーム対策推進法案要綱」悪質クレーム対策推進法案要綱

PDF「悪質クレーム対策推進法案」悪質クレーム対策推進法案

PDF「悪質クレーム対策推進法案新旧対照表」悪質クレーム対策推進法案新旧対照表

PDF「悪質クレーム対策推進法案のポイント」悪質クレーム対策推進法案のポイント

PDF「悪質クレーム(迷惑行為)の実態」悪質クレーム(迷惑行為)の実態