衆院本会議で28日、「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」が全会一致で修正可決して参院に送付された。採決に先立って国民民主党の源馬謙太郎議員が賛成の立場から討論した。討論の要旨は次の通り。
昨年3月に目黒区、今年1月に野田市で児童が虐待を受けて死亡するという痛ましい事件が繰り返されたことを受け、国民民主党など野党5会派は、児童虐待防止対策を抜本的に強化する法案を提出した。一方、政府も児童虐待防止対策を強化する法案を提出したが、そこには野党が虐待防止に必要だと考えた内容の多くが取り入れられていなかった。
そのため野党案の内容を政府案に盛り込むよう修正を強く求めたところ、政府・与党は虐待を受けた児童の転居前の児童相談所長が転居後の児童相談所長に、転居先の住所を速やかに情報提供する旨の修正を受け入れた。これは転居時の引き継ぎを強化するための前進だと評価する。
また、衆院厚生労働委員会で政府が児童相談所の設置、児童福祉司の増員、児童相談所職員等への研修、人事ローテーション、リスクアセスメント、0歳児の虐待死事案への取り組みなどに関して明確に答弁したことも評価できる。
しかし、今回の法改正で児童虐待防止対策の強化を終わらせてはいけない。野党案に盛り込まれた児童相談所の中核市や特別区への必置、児童福祉司のさらなる増員を実現する必要がある。また、親権者が児童に体罰を加えた場合における親権停止のあり方、児童虐待を受けた新生児が死亡する事態の防止、里親への委託を促進するための措置などについても政治が答えを出していかなければならない。
これらの残された課題についても積極的に対応するよう、政府に求め続けるとともに、与野党を超えた全議員のさらなる議論と、速やかな行動をお願いする。国民民主党は引き続き、子どもの命を守るため、児童虐待防止対策の抜本的強化に全力を挙げて取り組んでいく所存である。