参院本会議で24日、野党各党が共同提出した内閣総理大臣安倍晋三君問責決議案が審議され、決議案は賛成少数で否決された。採決に先立ち、国民民主党・新緑風会を代表して大塚耕平代表代行が登壇し、決議案に賛成の立場から討論を行った。
冒頭、大塚代表代行は国民民主党が結党宣言の中で「正直な政治」「偏らない政治」「現実的な政治」を追求することを明記していることに言及した上で、この3つの観点から問責決議案への賛成理由を申し述べるとした。
「正直な政治」の観点では、安倍総理・閣僚、そして内閣を支える霞が関の官僚の昨今の言動があまりに不正直であるとの理由から、安倍総理が問責に値すると述べた。その具体的な事例としては(1)マクロ経済スライドを導入した2004年の年金制度改正を「100年安心」と表現したこと(2)「100年安心」なのは制度であって、国民ではないことを正直に認めてしまった金融審議会報告書を受け取らないという暴挙に出たこと(3)すでに試算が終わっていると思われるにも関わらず、その公表を参院選後に先延ばしにしようとしている年金財政検証における不正直さ――等を挙げた。
そして少子高齢化の進展の中で、公的年金制度の運営が容易でないことは、党派を問わず認識を共有しているはずだ、と述べた上で、「事実を明らかにし、正直な年金改革のための議論を、一刻も早く超党派で開始することを提案したい」と訴えかけた。
第2に「偏らない政治」の観点から、「特定の人、特定の組織の利益のために政治を行ったり、特定の意見だけが正しいという傲慢な姿勢で政治を行うことでは、より多くの国民の納得を得ることはできない」と論じた上で、安倍政権の下では、「事実を隠ぺい、改ざん、ねつ造して利益誘導する」ようなケースが多々見られることから、総理の政権運営は問責に値すると断じた。そして現在の「偏った政治」の典型として(1)国家戦略特区を巡る不祥事(2)偏った人事権行使の結果としての官僚の劣化――を挙げた。
第3に「非現実的な政治」の典型として(1)「イージス・アショア」配備計画を巡り、防衛省調査報告書の重大な誤りが発覚した問題(2)異常な金融緩和を柱としたいわゆるアベノミクス政策――を挙げた。特に(1)については、より低コストで、機動力のあるイージス艦を増強した方が合理的かつ現実的だ、とした上で「何かを忖度(そんたく)し、事実を隠ぺい、改ざん、ねつ造してまで非現実的な選択に固執するようでは、その責任者である総理を問責せざるを得ない」と論じた。
最後に大塚代表代行は、安倍総理が第1次政権発足以前から「戦後レジームの脱却」をうたっていることを取り上げた上で、真の戦後レジーム脱却を目指すのであれば、むしろ(1)日米地位協定の見直し(2)北方4島の返還(3)旧宮家問題への対応――といった問題の方により注力すべきだと述べた。そして戦後レジームを脱却するどころか固定化し、不正直で、偏った、非現実的な政策を続ける総理には「問責をもっていさめるしかない」と演説を締めくくった。