矢田わか子議員は15日、参院予算委員会の総括質疑に立ち、(1)消費税率引き上げに関する諸課題(2)日米貿易交渉の問題(3)医療費の抑制策の推進(4)幼児教育無償化と待機児童問題(5)児童虐待対策の強化――について質問した。
消費税率引き上げに関する諸課題
今回の消費税率引き上げに関する収入と支出について、安倍総理と麻生財務大臣に確認し、「消費税の増収は5.6兆円。軽減税率約1兆円が減収となる。軽減税率の減収の穴埋めとして、所得税の増税(来年1月から給与所得控除の見直しなどで年収850万円以上の人は増税)、たばこ税の増税、インボイス制度導入、低所得者向け総合合算制度の見送り、社会保障費抑制等、国民の負担によってまかなう」もので、「特定の国民が負担し、特定の国民だけが恩恵を受ける」と今回の消費増税の不公平性を指摘した(パネル参照)。
菅原経産大臣に10月の導入後、現場で混乱が生じているキャッシュレス決済に関わるポイント還元制度についても、利用できる者と利用できない者の不公平、予算オーバーへの対応などの問題点を挙げて「税負担の公平・公正性から大きくかけ離れた制度」と指摘し、対応策を速やかに練り直すよう求めた。
日米貿易協定の問題について
安倍総理が先月末、日米貿易交渉が「ウィン・ウィン」の結果であったと発言した根拠について質問したが、総理は明確な回答を避けた。日本の工業製品に対する関税撤廃について「TPP12では、141項目中133項目(94.3%)が即時撤廃であった。一方、今回の協定では、199項目中、即時撤廃は51項目(25.6%)。残る4分の3は「2年目半減」「即時半減」「2年目撤廃」となっており、TPPより大きく後退している」と指摘した(PDFダウンロード参照)。茂木外務大臣に「その他工業製品」の関税撤廃が後退した背景と自動車を含めた今後の交渉方針についてただしたが、交渉の期限や内容について明確な回答は得られなかった。
医療費の抑制策の推進について
「政府は国民医療費の膨張に関し、今後、全ての保険で保険料の大幅な引き上げが必要となると推計している」と説明し(PDFダウンロード参照)、「これでは、年金生活者をはじめ多くの国民が負担増に苦しむことになる。サラリーマン全体として、実質可処分所得の低下を招いている」と懸念を示した。加藤厚労大臣に膨張を続ける医療費と健康保険料の上昇を抑制する対応について質問し、政府に医療費の軽減化につなげる施策の推進を申し入れた。
幼児教育無償化と待機児童問題について
安倍総理に「幼児教育無償化について『国難とも呼ぶべき少子化に真正面から立ち向かっていく』と表明されたが、これが真に少子化対策になるのかどうか」と再度見解を確認。「無償化によって保育ニーズが高まり、来年度の入園に向けた『保活』が厳しくなることで多くの親が子供を生み育てることに不安を強めるのではないか」と指摘し、子育て支援政策の抜本的な見直しを求めた。待機児童数と隠れ待機児童数の推移について説明し(PDFダウンロード参照)、潜在的待機児童問題への対応と子育て安心プランの待機児童解消計画の実現性について衛藤少子化対策大臣にただした。
児童虐待対策の強化について
児童相談所全国共通ダイヤル「189」の接続状況について、「最終的に所管の児童相談所につながる接続率は僅か25%前後であるという深刻な問題だ」と指摘し(PDFダウンロード参照)、加藤厚労大臣に通話料金、待機時間、そして通報者の個人情報保護問題などへの対応策を申し入れた。