国民民主党を含む野党会派は31日、大学入試への英語民間試験導入の延期を求める集会を院内で開き、当事者である高校生や教育関係者などから話を聞くとともに、政府が導入を強引に進めていることに強く抗議し、制度実施の延期を求めた。
政府が導入しようとしている英語民間試験に対しては、(1)受験料が高額であること(2)所得の高い世帯の子弟は、より多くのテストが受けられて有利であること(3)地方の受験生ほど受験機会が限られたり、高額の負担を強いられることになり、不利となること(4)すべての高校が、英語の4技能を教える十分な体制が整っているとはいえないこと(5)複数の異なる民間機関が実施する試験の点数を並べて比較する試験の仕組み自体の問題(6)試験の実施機関側の準備状況に混乱が見られること(7)試験の実施機関と試験対策の講座や参考書を作る会社が同じであるなど運営上の問題があること、といった問題点が指摘されている。
昨日の衆院文部科学委員会で共同会派のトップバッターとして質問に立った国民民主党の城井崇委員会理事は質疑を振り返り、「今回の新しい仕組みを入れてしまうと、さらに格差を広げることを政治や行政が促すことなる」と指摘した上で、「『(金銭的負担の)軽減や減免を実施機関に要請している』という、過去2年間近く繰り返されてきた答弁が、昨日の委員会でも政府は繰り返した。あきれてものが言えない」と、責任を試験実施機関に転嫁した挙句、いまだに成果を上げていない無責任な政府の対応を厳しく批判。政府が予算化したと主張する離島の受験者への補助についても「来年度予算の概算要求に入れただけだ」と指摘した。
さらに城井議員は、「問題点はすでに明らかになっており、ここは一度立ち止まって、例えばまず4技能を測る英語教育をやる、あるいは国の共通テストで4技能を測れるよう開発に取り組むなどすべき。英語民間試験の導入は、少なくとも不公平と不公正が正されるまではやるべきではない」と訴えた。
国民民主党は10月24日に野党共同で「英語民間試験導入延期法案」を衆院に提出しているが、政府与党は審議入りに応じず、試験導入を強行する構えを見せている。