「本当に公平な試験といえるのか?」(城井崇・国民民主党文部科学部門長)。9日、共同会派が文科部門会議を開催。新型コロナウイルスに影響された高校・大学の入学試験や学校の感染症対策について、文部科学省等からヒアリングを実施した。この日の会議では大学入学共通テストについて、日程を分割した場合、過去のセンター試験の本試験と追試験の平均点差・偏差値に開きがあった事例のようなことが共通テストで起こり得るなどの観点から、「公平な試験」とはならなくなる可能性があることなどが指摘された。
新型コロナの影響を配慮し、2021年は特例として大学入学共通テストが第1日程、第2日程の2つの日程に分割されており、受験生のうち現役高校生は、どちらかの日程を選べることになっている。一方、浪人生は第1日程しか受験できないこともあり、第1日程と第2日程の試験では、偏差値が大きく異なる結果となることが危惧されている。
この件について、会議に出席した文科省担当者からは「第1日程と第2日程の試験問題は、同じ問題作成者が両者のバランスを取るように作成しているので適切だと考えている。例年行っている本試験と追試験においても同様の作業を行っている」といった説明があった。
これに対し、城井部門長が「得点調整もなければ、同等化(等化)する作業もない。その共通テストでいきなり2つの試験を比べて本当に公平な試験といるのか」と指摘したほか、「試験の同等化の対策を講じない以上、第1日程の試験と第2日程の試験、センター試験の予備問題を流用する特例追試はそれぞれ別物であり、受験生に注意を喚起する必要があるのではないか」との意見が参加議員から出た。
このほか、入試については、中学校休業の影響を考慮した高校入試の出題範囲の縮小に関して、(1)出題範囲から除外される学習内容は高校に持ち越されるのか否か(2)出題範囲の除外対象や、これを公表するタイミングが地域によってバラバラであり、受験生に不公平。文科省として全体をどうコントロールしているのか(3)各県の方針はいつまでに出そろうのか──等の質問があがった。
これらに対し文部科学省からは(1)中学校最高学年については、学習内容を翌年度(高校)まで持ち越すことは認めていない(2)地域の実情に応じ、実施権者が適切な対応をすることを想定しており、一律にコントロールすることは考えていない(3)高校入試出題範囲について、現時点で対応を決定した県は47県中19県──との回答があった。
会議の後半で議題とされた学校における新型コロナウイルス対策については、参加議員から「学校現場におけるPCR検査を拡充し、教員全員の検査を行うべきではないか」「マスクを常にしているので級友や先生の表情が見えない。フェイスシールド等を活用できないか」「オンライン授業は、これにかかる通信費が地域によってまちまちだ」といった意見が出された。文科省からは、学校における熱中症対策や、各地域における夏休み期間の短縮方針について説明があった。
<配布資料>
(資料1)令和3年度高等学校入学者選抜における出題範囲等の工夫の事例