徳永エリ議員

 「日米貿易協定はアメリカファースト(自国優先主義)であり、WTOルール違反。米国の脅しに屈した――決して安倍政権が言うようなウィンウィンではない」。参院で28日、日米貿易協定承認案を審査する外交防衛・農林水産・経済産業各委員会の連合審査会を開催。国民民主党から徳永エリ議員(参院農水委員会理事)が質問に立ち、協定内容の問題点を指摘した。

 徳永議員は、EUがあくまでWTOルールの順守や相互主義の立場に立ち、EU産の鉄鋼やアルミについて追加関税をかけるとした米国の脅しに屈しなかったことを取り上げ、日本政府の弱腰な交渉姿勢と比較。「どう考えてもこの妥結内容に納得できない。農産品を譲歩してしまったということは間違いない」と協定内容について強い不満を表明。かねてから「米国との2国間交渉では対等な交渉はできない。米国との貿易交渉は多国間交渉を通じて行うべきだ」と主張してきた、と日本政府の姿勢にも疑問を呈した。

 さらに徳永議員は、日米貿易協定の経済効果や、国内の農林水産物への影響について、TPP11や日欧EPAと並べて試算を行うべきだ、と主張。「政府の試算は信頼できない。3つの協定を合算した影響試算を出してもらうことが農家の安心につながる」と述べた。

 今後は、安価な外国産農産物の流入により農産物価格は下がってはいくものの、政府の対策や農家側の生産コスト削減等で農家所得を確保し、国内生産は今後も維持される――と政府が説明している点について、「農家がコストを下げることができなかったらどうなるのか。逆に価格が下がり、生産コストが上昇したら農家は再生産ができなくなるのではないか」と反論。近年、国内の畜産業や酪農における生産費の上昇が続き、離農が止まらない現状を指摘し、生産費が今後「下がっていく」ことを前提とした政府の説明について「楽観的すぎる」と批判した。その上で「もう1月には日米貿易が発効する見通しだ。どんな影響が出るのか本当に分からない。しっかり対策を急いでほしい。また現状調査をかけるなどして(生産コストや協定の影響試算などの)データをきちんと提供してもらいたい」と政府に強く要請した。

PDF「11月28日参院連合審査会 配布資料」11月28日参院連合審査会 配布資料