後藤祐一議員

 「閣内不一致だ。政府としての統一見解を提出してほしい」。衆院予算委員会で12日、新型コロナウイルス対応・内外の諸情勢に関する集中審議が行われ、国民民主党から後藤祐一議員が質問に立った。後藤議員は(1)東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定(2)公文書管理などのテーマを取り上げた。検察官の定年延長を決めた閣議決定については、人事院と森雅子法相の見解の相違を浮き彫りにした。

 まず後藤議員は、東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定について質した。昭和56年時の国家公務員法改正で国家公務員に定年制が導入された際、新しい定年制は検察官などについては「適用されない」と、当時の人事院が国会で答弁していたことを、前日の予算委員会で指摘された件について、森雅子法相の見解を問い質した。前日の委員会で森法相は、特別法である検察庁法が一般法である国家公務員法に「適用されない」のは、定年年齢を定めた国家公務員法81条1項のみであり、定年延長について定めた2項はこれに含まれない旨の答弁をしていた。

 後藤議員は、昭和56年当時の人事院任用局長の「(導入する予定の)定年制は(検察官には)適用されない」という答弁にある「定年制」という言葉に、「定年延長」の特例を定めた国家公務員法81条の2項は含まれるのか、と改めて質した。

 この質問に対し、出席した人事院の担当者が「制定当時に際してはそういう解釈であり、現在までも特にそれについて議論はなく、同じ解釈を引き継いでいる」と答弁したため、後藤議員は「閣内不一致だ」として、政府としての統一的な見解を出すよう求めた。

後藤議員パネル資料

後藤議員パネル資料

 次に後藤議員は、政府の行政文書管理のあり方について、公文書管理を担当する北村誠吾内閣府特命担当相を質した。後藤議員は、特定秘密保護法で保護対象となる「特定秘密」や「公文書」の管理の具体的な問題点について、大臣の所感を質した。しかし北村担当相は、官僚が用意した文書を読み上げる答弁に終始。後藤議員は「保存期間1年未満文書が不適切な形で破棄されている。問題はないのか?」と、さらに問い質したものの、北村担当相は「適正に処理されていると考えている」と答弁。こうしたやり取りの中で後藤議員が「普通の大臣としての仕事が難しい状況だ。(北村特命担当相を)なぜ任命したのか」と、安倍総理の任命責任に踏み込む場面もあった。

 後藤議員は森友学園問題、加計学園問題、そして「桜を見る会」で問題となった公文書の取り扱い事例を取り上げて「最近はこういうのばかりだ。官僚たちは、権力者を忖度して法律上まずいことを平気でやる。大臣の立場で官僚のやることを厳しくチェックすることを、国民も期待している」と、北村担当相を叱咤し、質問を終えた。