参院予算委員会で10日、国家戦略特区を活用した学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関連して、元総理秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官の参考人質疑が行われ、国民民主党の川合孝典議員が質問に立った。

 柳瀬元秘書官は、愛媛県今治市による特区提案前の2015年4月に、学園関係者と首相官邸で面会したことを同日午前の衆院予算委員会での参考人質疑で認めたが、愛媛県が作成した面会記録文書の中で柳瀬元秘書官が「加計学園」の獣医学部新設の件を「首相案件」と発言したと記されていることについては、「面会には10人近く、大勢の方が来た」として、その中に愛媛県や今治市の職員が同席していたかどうかは「分からない」旨の発言を繰り返した。

 川合議員は、総理官邸への入館者は随行者までチェックされているはずだとして、入館記録を速やかに調査すべきだと指摘したが、柳瀬参考人は「入館手続きがどうなっているかは分からない」などと返答するにとどまった。

 川合議員は愛媛県が作成した面会記録文書(PDFダウンロード参照)を示し、「加計学園に対して、そして後ろにいた今治市・愛媛県に対して特区制度を使って学校を新設するうえで具体的にどうすればいいかをものすごく丁寧に、こと細かくアドバイスをしている。『一般論として説明している』という説明では到底通用しないほど親切。これは『加計学園ありき』といわれる一つの大きな理由だ」と指摘した。これに対して柳瀬参考人は、「特区の指定基準は閣議決定されているが、自治体の熱意が条件になる。どこでも公開されているものなのでそれを説明した。特に地方(自治体)の人には、国の制度はどこに行ったらいいか、どういう手続きか分からないことが結構あるので、公開されている話はできるだけ丁寧に説明するように心がけている」などと答弁。川合議員はこの答弁について、「加計学園関係者の後ろに自治体職員がいたことを認めている」との見方を示した。

参院予算委員会 川合孝典議員 配布資料