質疑に立つ伊藤孝恵議員

 参院で11日、政府提出の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(バリアフリー法改正案)に関する本会議質疑が行われ、国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵議員が質問に立った。

 本改正案は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の一層の促進を図るため、公共交通移動等円滑化基準等の適用対象となる事業者の範囲の拡大、公共交通事業者等の講ずる措置に関する計画の作成の義務付け、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する措置及び移動等円滑化施設協定制度の創設等の措置を講ずるもの。

 伊藤議員は、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたバリアフリー化への取り組みについて質問。ホテル客室のバリアフリー化の遅れや空港アクセスバス・長距離バスのリフト付きのバリアフリー車両が「東京近郊にわずか4台」であること、駅のホームと車両のすき間や段差の解消が進まず車いすの単独乗降ができない状況があること、新幹線や鉄道の車いすスペースが足りずにデッキで過ごしている車いすの方がいることなどを指摘し、今後の具体的な解決策や数値目標の明示を石井国土交通大臣に求めた。

 また伊藤議員は、バリアフリー法に決定的に欠落していることは「利用できることを担保する視点」だと断じ、「『歩けない人は乗れない』と搭乗を拒否したバニラエアの事件に対しバリアフリー法が無力だったのは、法が利用の実質を何ら規定していないから。ハード整備の数値目標の達成状況とともに利用の実態がどうなっているのかを調査してほしい。加えて利用の実質の担保について、法に書き込むことを検討すべきだ」と主張した。

 今回のバリアフリー法改正については、「この法案が、障害者のための福祉的な環境創りという旧態の発想は、もはや拭い去らなくてはいけない。公共空間を安全かつスムーズに移動できる、食べたいものを食べ、行きたいところに行って、会いたい人に会う。心身にどんな障害があっても、その権利が等しく守られる。それは結果として、高齢者や子どもたち、ベビーカーを押すお母さんやお父さん、外国人観光客にも役立つものになる」と訴え、国交大臣の見解をただした。

参院本会議バリアフリー法改正案質疑伊藤孝恵議員予定稿